2025/03/31
政府は21日、来年に就職活動が本格化する現在の大学2年生の採用を巡り、内定を出した学生に他の企業で就活をしないように迫る「オワハラ」の防止を徹底するよう、経団連などの経済団体へ要請文を発出した。
三原じゅん子共生社会担当相は記者会見で「学生と企業の双方にとって有意義な就職採用活動となるよう、ご協力をお願いしたい」と述べた。
文書でオワハラについて「就職をしたいという学生の弱みにつけ込んだ行為」と指摘。具体的な事例に、内定承諾に際して保護者の同意を強要する行為などを挙げた。会社説明会は原則3月、面接などの選考は6月などとする日程のルールを順守することも求めた。
(共同通信 3月21日)
オワハラは学生を追い詰める行為である。厚生労働省によると、ハローワークに寄せられた相談には、次のような例があるという。
「内定承諾書の早期提出を執拗に求められ、メッセンジャーアプリにも 就職活動を終了するよう求めるメッセージが再三送付されてくる」「内々定の連絡を受けた後、他社の選考を全て辞退し、就職活動を終了するように言われた」「 内々定時に、入社しなかった場合には損害賠償が発生する旨の記載がある誓約書や入社承諾書へのサインを強要された」。
3つめの事例にあるサインの強要は強要罪に該当しないのだろうか。あるいはオワハラは職業選択の自由に違反する行為ではないのか。
現に厚労省は「オワハラは、憲法で保障された職業選択の自由を侵害する行為であり、場合によっては、刑法上の脅迫罪・強要罪や民法上の不法行為にも当たる可能性があります」と警告している。
厚労省はオワハラの例として①自社の内(々)定と引換えに、他社への就職活動を取りやめるよう強要すること②自社の内(々)定と引換えに、他社への就職活動を取りやめるよう強要すること③内定承諾書等の早期提出を強要すること④他社の就活が物理的にできないよう、研修等への参加を求めること⑤内(々)定辞退を申し出たにもかかわらず、引き留めるため に何度も話し合いを求めること――を挙げている。
この問題は政府や経済団体などがいくら警告しても、刑事事件として立件されない限り解消しないだろう。
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