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コロナ禍で副業はじめた人は35% 得られた年収は?

消費者の傾向、若者の価値観、働き方の変化――このコーナーでは、ビジネスパーソンの働き方や企業の戦略立案に役立つようなさまざまな調査データを紹介していく。
人材総合サービスを提供するエン・ジャパン(東京都新宿区)は、転職サイト「ミドルの転職」の利用者を対象に、副業に関するアンケートを実施した。その結果、コロナ流行後に副業を開始した人は35%に上り、得られる年収は「20万円未満」が最多となった。副業に関心を持ちつつも「始め方が分からない」という声も多いことが分かった。  
最初に、今後理想とする働き方について尋ねると、68%が「本業以外にも第2の仕事や活動をしたい」と回答した。一方で、本業以外に取り組んでいることがあるかを聞いてみると、34%が「取り組んでいることがある」と回答した。 また、副業をしていない人にも、本業以外の活動について興味があるか聞いてみると、87%が「興味がある」と回答した。
本業以外に取り組んでいることはないと回答した人に理由を尋ねると、「始め方がわからない」と回答した人が34%で最多となり、次いで「会社が副業を禁止しているため」が33%、「本業が忙しく時間がないため」が26%だった。
(ITmediaビジネスオンライン 4月22日)

副業解禁のニュースがつづいているが、従来通り就業規則で禁止している企業は多い。理由は情報流出や長時間労働の防止などで、一定の合理性がある。だが、これらは表向きの理由である。
副業を禁止する真の理由は、会社の管理監督の及ばない範囲では活動してほしくない、という心理にある。縛り付けておきたいのだ。他流試合を経験して知見を拡充して、社業に活かしてもらうよりも、社員の行動を会社の目の届く範囲にとどめておきたいのである。
年俸制を導入している会社には、社員は24時間365日にわたって会社の指揮下にあると思っている例も散見される。極端にいえば、社員は会社の私有物という心理が働いているわけで、そんな会社では副業は論外である。
たとえ政府が副業を推奨し、厚生労働省がガイドラインを公表して副業の環境整備に着手していても、社員の所有権を手放したくない。これは心理の問題なので、副業禁止は違法であると法改正されない限り、改まらない。
エン・ジャパンの調査では、副業が「許可されている」は29%、「原則禁止だが、条件を満たした場合は容認されている」は28%。「明確に禁止されている」は33%。副業解禁への抵抗は根強い。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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