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東京海上が社内副業 企画立案力高める

ono20200918

東京海上日動火災保険は社内副業を解禁する。プロジェクトごとに希望者を公募し、地域限定職で入社しても東京での企画業務やプロジェクトに参画できるようにする。グループ内の優秀な人材を登用し、幅広いアイデアを取り入れることで既存の保険にかわる事業の企画立案力を高める。
就業時間内に他部署の事業に参加できる「プロジェクトリクエスト制度」として1万5千人の従業員を対象に公募を始めた。2020年度は5つのプロジェクトでまず30人から始める。米アマゾン・ドット・コムなどの巨大IT(情報技術)とのビジネスモデル作りやスマートシティに適した商品・サービスの開発などを担う。21年度は募集を100人以上に増やし、柔軟な発想を広く取り入れる考えだ。
社内副業に採用された場合は業務時間の約1割を自分の所属する組織以外の部署の仕事にあてる。副業部分も人事考課に組み込む。
同社では社外の副業も禁止はしていない。新たに社内副業を解禁することで、本人の時間や能力を社内でいかせる場所を増やす。
(日本経済新聞 9月10日)

 この記事にある「社内副業」は部門横断プロジェクトへの参画ある。「副業」という表現の当否はともかく、自部門の業務以外に勤務時間を充てることは有効だ。視点や思考を変えることで革新的な企画が出やすい。
たとえばスリーエムでは、社員に勤務時間の15%を担当業務以外のプロジェクトに充てることを奨励する「15%カルチャー」によって、特殊な接着剤が開発された。それがポストウィットの誕生に至ったことは、よく知られたエピソードである。
市場の変化にもっとも精通しているのは現場担当者である。担当分野が異なる現場担当者の知見が交錯して化学反応を引き起こせば、有力な企画につながりうる。これはオープンイノベーションである。さらに社員に経験則からの脱皮を促すことにも役立つ。「成功体験を捨てろ」といわれても、捨てることはそう簡単ではない。経験を積めば引き出しが増え、新たな課題に対しても、引き出しに解を求めるのは自然な思考だ。
この通弊を打ち破るには、オープンイノベーションの場に身を投じるのが現実的な手段である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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