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パワハラを労災認定理由に 厚労省、新しく項目追加へ

厚生労働省は15日、労働政策審議会の分科会を開き、過労自殺を含む精神疾患の労災認定の理由となる項目を整理し、新たに「パワーハラスメントに関する出来事」を加える方向で検討を進めると明らかにした。厚労省によると、労働者側が労災を申請する際に疾患の原因を説明しやすくなるという。有識者検討会を設置、来春までに議論をまとめる。

パワハラを巡っては、防止を企業に義務付ける女性活躍・ハラスメント規制法が5月に成立。厚労省は来年6月の施行に向け、企業に対策を義務付ける指針策定を進めている。労災認定の項目を設けることで、認定件数を明確にして、防止を進める狙いもある。
(共同通信 11月15日)

労働政策審議会は厚生労働省が作成したパワハラ防止の指針案を了承した。職場でのパワハラは「優越的な関係を背景とした言動」「業務上必要かつ相当な範囲を超えている」「労働者の就業環境が害される」のすべてを満たした言動と定義された。

このうち判断が分かれるのは「業務上必要かつ相当な範囲を超えている」だろう。「必要」や「相当」と人権を天秤にかけて判断しようとしても、基準は一律ではない。

加害行為者や会社側は「見解の相違」を理由に幕引きを図ろうとするが、被害者はどう対抗すればよいのか。
さらに厚労省が示したパワハラに該当する具体例に、殴打や物を投げつけるなどの「身体的な攻撃」が含まれているが、これも道理に合わない。身体的な攻撃は暴行事件として立件の対象になることを産業界に周知徹底させたらよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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