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介護離職で経済損失6500億円、受け皿整備費の13倍…経産省試算

家族の介護や看護を理由に仕事を辞める介護離職について、経済的な損失が年約6500億円に上るとの試算を経済産業省がまとめた。年間約10万人にのぼる介護離職は、収入源を失って離職者の生活が脅かされるだけでなく、企業などの経済活動への影響も深刻なことが明らかになった。
先月下旬、同省の産業構造審議会部会に、大まかな試算結果として示された。
総務省の就業構造基本調査によると、年10万人程度で推移している介護離職者のうち、40歳代以上が約9割を占める。男女別では女性が約8割となっている。
こうしたデータに40歳代以上の男女の平均賃金などを加味し、介護離職者約10万人が働いていれば得られたであろう所得(所得損失)を計約2700億円と試算。企業などが生み出す付加価値(利益など)への影響額を計算し、介護離職による経済損失が約6500億円に上ると見込んだ。
(読売新聞 10月15日)

 取材先の医療法人で聞かされた問題だが、退職する看護師や介護士に40代が増えているという。この医療法人は社会福祉法人を傘下にもち、介護施設も運営している。
なぜ子育ての終えた40代に退職者が目立つのかといえば、理由は介護離職だった。看護師も介護士も、高齢者のケアに従事する一方で、介護が必要な親をもつ利用者ないし患者家族でもある。
 人手不足に悩む介護現場で、中堅スタッフが介護離職のリスクにさらされている現実は、あまり知られていない。ケアをする側からケアをされる側に廻らざるをえないという深刻な事態が進めば、介護現場はまずます疲弊してしまう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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