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Q.技術側から企画側へのキャリアチェンジをした後、ミドル・シニア以降で生き残るためには何をすれば良いですか?

私は新卒から10年以上同じ企業におり、技術側(データサイエンス領域)の部署から、自分のキャリア希望で企画側の部署(プロダクトマネジメント)に異動して2年目になります。 現在の仕事における課題感と、それを踏まえた長期のキャリアの不安について相談させてください。

今の仕事のなかで、プロダクトの価値を最大化できるよう技術・データの使い方も含めて考えながら、企画の詳細とロジックを組み立てていくという検討実務自体にはやりがいがあります。

一方で、多くの社内関係者の意見を踏まえながら、妥協と調整をもとに企画内容とプロジェクト計画の落ち着かせどころを探る、という推進実務を担うにあたっては、自分のコミュニケーション力の不足やマインドセットの不足を感じます。

長くいた技術側の立場、今の企画側の立場、どちらもやりがい・挫折感の両方ががあるなかで、スキル的な意味で言えば前者のほうが自分には向いているという自覚はありつつも、 「技術・データを自分たちの事業のために最大限活かしたい」という自分の想いを今の組織で実現するためには、企画側の立場で頑張り、仕事の達成水準や介在範囲を高めていきたいという気持ちが強くあります。

このように短期のキャリアという視点では納得をしているのですが、一方で長期のキャリアとして企画側の仕事を続けて担当者としての評価を得られるのだろうか、 データサイエンス専門視点が生かせる企画の仕事が将来なくなったとき、企画職としての単体で価値を出せるところまで自分のケイパビリティを高められるのかと不安になります。(特に生え抜きの企画担当者と比べての自分の力不足を見ると)

不安を感じる原因の一つとして、技術側から企画側に移って長く生き残っている社員が自分の視界内にほぼおらず、自分のようなキャリアの人間が社会に求められるのか分からないためだと考えています。

技術側からの企画側へのキャリアチェンジをした後、ミドル・シニア以降で上手くいった人は外の組織ではどのくらいいるのか、またそういう人は生き残るためにキャリアチェンジ後にどのような努力をされてきたかについて、三上さんのご経験からアドバイスを頂けませんでしょうか。

まずキャリアプランをどのようにお持ちになっているのかで、選ぶべき方向は異なるかもしれません。ちなみに私のスタンスとしては、ご自分の人生なので、自分で好きなことを勝手にやってください、というものです。

概ね現在のキャリアから想定されるのは、(1)技術(DS)のエキスパート、(2)プロダクト責任者、(3)組織構築寄り(最近だとPdMやVPoEが担うケースが多い)の3つです。

(1)はシンプルに技術を追求し続けるキャリアです。現在ブームとなっているDSのムーブメントがいつまで続くのか?は意見が色々あるでしょうが、ある特定の技術領域の先端を追いかけていくことは元々の貴殿の正確にはフィットした仕事のように映ります。特にマネジメントキャリアを選ばなくても、ある程度得意なことを追求できるヘルシーな道です。

(2)はそもそも選ばれるための運と実績が不可欠ではありますが、せっかく企画に移ったのであれば、技術*企画の両輪を生かした分かりやすいプロモーションの道です。このキャリアはプロダクトが変わっても普遍的にパフォーマンスする再現性が重要です。そのため大きな成功を1つ納めるホームラン狙いよりも、小さなヒットを継続できるアベレージバッターを目指すと、現職がどうなっても自分のキャリアは自分で切り開くことができます。その一方で、売れる製品は企画*技術だけではなく、BD/営業のパワーも掛け算で紐づきます。更に経験の幅を広げていく必要があります。

(3)はご自身が技術でも一流ではない、企画としても一流ではない、但し組織構築や人材育成に目線を移したい場合のオプションです。どんな事業でも優れた人材が必要なタイミングで揃っていること、その人材・チームがハーモナイズしていることがとても重要です。これまで営業や管理部門では、このような組織論が数多く登場してきましたが、プロダクト開発においてはまだまだ発展途上です。PdMやVPoEという名称でこのミッションを帯びている方もおりますが、職種として未成熟であり、掘っている人が少ない分、早く始めた方が勝ち抜ける要素が強いと考えています。

なお、周囲との比較は、環境を変えると評価が大きく変わることもあります。企画の天才が集う組織で陽の目を見ない方であっても、環境を変えて活躍しているケースも多いですし、技術においても同様です。悩めるというのはある意味では才能であり、他人の悩みが分かる才能でもあるので、(3)のチョイスも私はありだと感じました。

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三上 俊輔

著者情報:
三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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