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アメーバ、スマホアプリで、サイバーエージェント、主要サービス年内に、事業人員を半減し再編

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サイバーエージェントは主力の交流サイト「Ameba(アメーバ)」で展開している各種サービスをスマートフォン(スマホ)の専用アプリ(応用ソフト)でも提供できるようにする。1日付で実施したアメーバ事業のリストラ後、第1弾となるアプリの提供を19日に開始。既存の主要8サービスを年内に順次アプリ化して、スマホ利用者の取り込みを急ぐ。
サイバーエージェントは1日に「Ameba」を担当するアメーバ事業本部の人員を1600人から800人に減らす組織改編を実施。アメーバ事業本部をスリム化する一方、アメーバで手掛けるサービスをアプリ化する「コミュニティ事業本部」、交流サービスやゲーム以外のアプリを開発する「CP事業本部」を新設した。
コミュニティ事業本部は19日、設立後初となるスマホアプリ「ごーしちご」の提供を始めた。利用者は日常生活で感じたことを俳句や川柳にして投稿し、利用者同士でコメントをつけて楽しむ。年内に100万人の会員登録を目指す。
パソコンやスマホの閲覧ソフト(ブラウザー)で利用する既存サービスは、10月から順次スマホアプリ化する。40種類以上の交流サービスのうち、人気がある8サービスを年内にアプリ化する。
(日経産業新聞8月20日)

交流サイトのアメーバは、多くのブログを集め女性に人気のSNSだったが、スマホ対応が遅れ苦戦を続けている。スマホで快進撃を続けるLINEとは対照的だ。

ネットの市場は変化が激しい。過去の成功体験に酔っている暇はない。イノベーションに躊躇すれば、即、市場から退場を促される。時代の最先端を走っていたはずのサイバーエージェントでも、今回のようなイノベーションのジレンマに囚われる。

イノベーションのジレンマとは、過去の成功体験に基づく持続的イノベーションに最適化された企業は、従来商品の価値を破壊してしまうほどの新しい価値を創造する破壊的イノベーションへの対応が遅れ、結果的に破壊的イノベーションのみを活用する企業に敗れるという話だが、サイバーエージェントは、まさに、このジレンマに逡巡し、スマホ参入の時機を逸した。

本来であれば、アメーバが黒字を出している間に、スマホアプリへの投資をすべきだった。これは、結果論ではない。経営の質の問題である。

※別視点から

サイバーエージェントは毎年巨額の赤字を出しながら、中長期的な投資を行いアメーバを黒字化した過去がある。IT会社では珍しい長期投資が可能な会社であり、他の動きの速い会社とは異なる意思決定を行っている。

サイバーエージェントはスマホ市場でもサイゲームスやザムズアップを中心としたゲーム事業はキャッシュカウとなっており、スマホに乗り遅れたわけではない。

どちらかというとスマホに乗り遅れたというよりかは、アメーバ関連(特にアメーバピグなど)が賞味期限切れに近づいていることを確信して、運用部隊以外は新しい開発にリソースを切り分ける判断をしたのであろう。

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谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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