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希望退職1000人募集、日立化成、海外強化に対応。

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日立化成は25日、本体と国内子会社の40歳以上の社員を対象に、約1千人の希望退職を10月中旬に募集すると発表した。国内1万1千人の9%に当たる。本社全体で希望退職を募るのは1962年の設立以来で初めて。国内の構造改革を進めて収益力を高め、機能性材料や自動車部品などのグローバル競争に備える。
対象となる日立化成と国内子会社の40歳以上の社員数は6千人。募集期間は約1カ月で、12月末の退職となる。通常の退職金に特別金を加算して支給する。希望者には再就職支援もする。
これまで本社全体を対象に期間を区切り、加算金を支給する形で希望退職を募ったことはなかった。(日本経済新聞7月26日)

日立化成は日立製作所の化学製品部門が分離独立して1962年にできた会社。半導体や液晶に使う電子材料や樹脂材料、自動車部品が主力で、主要な顧客は海外に拠点を持っている。このため、海外売上高比率は、2011年に42.4%、2012年に46.7%、2013年50.6%と高くなる傾向にある。国内メーカーの海外シフトの加速によって今後はさらに高くなるだろう。

2015年の営業利益見通しは6.9%と黒字を見込んでいるが、海外での投資やM&Aに振り向けるため、国内の人員を削減し、スリム化しようとしている。

日本の電機や自動車などのセットメーカーが国際競争力を失ったり海外移転を強化したりする中で、部品や素材メーカーが競争力を維持していることに期待を寄せるむきもあったが、国内にセットメーカーの製造拠点がなくなってくれば、部品や素材メーカーも海外に経営資源を移転せざるを得ない。

今回の日立化成のリストラは、不景気というよりは、グローバルな競争力強化のための経営資源の最適化の一環だ。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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