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障害者雇用、テレワークで広がるか ロボで在宅勤務

ITを活用して障害者が遠隔で働けるようにする取り組みが首都圏で広がっている。障害者は在宅で働くことができるため移動の負担が減るほか、企業は地方在住者など採用機会を増やしやすくなる。コミュニケーションなどの課題はあるが、障害者の働き方の選択肢が広がる可能性がある。
「お待たせしました。グリーンティーをお持ちしました」。6月に開業した東京・日本橋の「分身ロボットカフェ DAWN ver.β(ドーンバージョンベータ)」では白いロボット「オリヒメ」が接客と配膳をする。子どもほどの大きさのロボットが通路を移動して料理を届け、テーブル上に置かれた高さ23センチの小型ロボットが客の話し相手を務める。いずれも障害者が自宅などから遠隔操作している。
(日本経済新聞 8月11日)

AIを装備したロボットが、自動で接客をする店も増えているが、ロボットを顧客とのインターフェースにだけ利用し、操作は遠隔で人が行う形態も出てきた。現在のAIは飛躍的な進化を遂げているとはいうものの、人間ほど多様なケースに対応できるわけではない。接客の場合、顧客から想定外の言葉をかけられ、「分かりません」を連発することもある。特に、ロボットの形が人型だと、顧客は、人と話すつもりで語りかけるので、期待した受け答えが返ってこないと失望することが多い。その点、人間が遠隔で対応すれば、どのような会話も可能となる。顧客のストレスも減って顧客満足度は上がるだろう。

接客する側にとっても、遠隔操作であれば、遠隔地にいる障害者や高齢者など体が不自由な人でも働くことができ、多くの人々に雇用機会をもたらすことができる。また、遠隔操作をしている店員は、顧客との会話だけを担当し、「グリーンティーをお持ち」するというような配膳は、ロボットの自動操縦に任せることが可能だ。店員は、複数のロボットを操作し、あるロボットの配膳中に、別のロボットを介した顧客との会話に時間を割くことができ、店員一人当たりの生産性は高くなる。いわば、回転寿司モデルの他業態展開のようなものだ。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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