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DX人材、官庁も厚待遇 年収1千万円や柔軟な働き方

政府がデジタルトランスフォーメーション(DX)に精通した人材の獲得を急いでいる。年収1千万円や柔軟な働き方など、これまでにない厚待遇を打ち出す。新型コロナウイルス禍でデジタル対応の遅れがあらわになり、IT(情報技術)を生かした公共サービスの充実や効率化が急務になっている。民間も有能な人材の確保に躍起で、激しい争奪戦になる可能性がある。
「『DX推進ビジネスデザイナー』募集」。転職サイト運営のビズリーチ(東京・渋谷)は1月、年収1千万円程度の人材募集要項を掲載した。出したのは金融庁だ。
(日本経済新聞 3月3日)

年収1千万円がDX人材にとって好待遇なのかどうかは、意見が分かれるところではある。各省庁とも本省の課長補佐級の人材を雇用しようとしており、課長補佐の給与としては、厚遇なのかもしれない。しかし、民間企業、特に、外資系企業では1千万円は安い。国内のIT大手でも30代半ばの課長ならDX人材に限らず1千万円は超えている。AIやデータ分析の専門家なら数千万円も珍しくなくなった。

もっとも、給与では民間に比べて見劣りがするものの、官庁での業務経験は、官庁の業務プロセスや意思決定プロセスを把握し、官庁内に人脈を築くことには役に立つ。報道によれば、求人の百倍程度の人が応募するなど、各省庁は必要な人材を確保できる見通しが立ってきたが、低い給与で集めると、能力のある人材ではなく、官庁対応の営業力を磨こうとする人が集まってくることに留意が必要だ。有能な人は、公務員として官庁で働くより、コンルタントとして官庁からコンサルティング・フィーを貰うことを選択する。その方が、収入は数倍高くなるからだ。同じ理由で、東大、京大の学生の就職先としては、官僚よりもコンサルタント会社の方が、人気がある。官庁との人脈作りが主たる目的ではない人を採用するには、国家公務員の既存の俸給体系とは別の処遇を考えなければならない。

谷萩 祐之

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谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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