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本社・在宅 2択じゃない、「第3の場所」で社員つなぐ

新型コロナウイルス禍でテレワークが普及するなか、その日の仕事内容に最適な場所を選ぶ働き方が注目されている。欧州発の「アクティビティー・ベースド・ワーキング(ABW)」だ。「オフィスか、在宅か」の二者択一でなく、双方の利点を組み合わせることで生産性と快適性を両立させる。コミュニケーションの希薄化などテレワークの課題を克服する試みだ。
(日本経済新聞 9月28日)

「アクティビティー・ベースド・ワーキング(ABW)」とは、アクティビティー、すなわち、仕事の内容に応じて働く場所を選ぶ制度だ。部門ごとに分散させるのではなく、部門が異なっていても、同じような業務をする人は、同じ場所で仕事をすることができる。ひとつのオフィスの中だけでも、事務スペースや会議室、研究室などアクティビティーごとに空間を分けることはできるが、今のICTを使えば、地理的に仕事空間を分散させることも容易だ。

これによって、従業員は、オフィスに縛られなることもなく、在宅勤務のように孤独になることもない環境を得ることができる。部門を超えた接触の機会も増えることから、多様な見方に触発されてイノベーションにつながることもある。

ただし、ABWが有効に機能するには、物理的な施設とITの活用だけでなく、従業員の行動変容が必要だ。上司の目の届かないところでも成果を出すために自律的に働き、他部門とも協調して新たな価値を創造しようと意欲的に努力するようにならなければならない。そのためには、まず、経営者自身が変革することが重要だ。部下を信頼し、成果を客観的に評価すること、それが、経営者がクリアすべき最初の課題だ。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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