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丸紅「社内副業」義務付け 勤務時間の15%、新事業促す

丸紅は4月から全従業員を対象に勤務時間のうち15%で通常業務から離れ、新しい事業の考案など「社内副業」に取り組むよう義務付ける仕組みを始める。事業会社への出資や不安定な資源分野への投資といった現在のビジネスでは長期的に経営が厳しくなるとの危機感から、社員が部門を横断して動くよう促して新事業の創出につなげる。
(日本経済新聞 4月1日)

日本がバフル景気に沸いていた頃、筆者が富士通に勤務していたとき、朝の最初の1時間は、自分の担当業務とは異なる研究開発をするように指示されていた。それは会社としての規則ではなく、上司の判断だったが、そのような組織風土は社内に広く行き渡っていたものだ。そして、この風土は、富士通に限らず日本を代表する多くの企業、とりわけ、製造業の研究開発部門ではよく見られるものだった。それがいつしか、短期的な成果を重視する経営が主流となる中で、足元の成果につながらない活動への投資が自然に減少していったのかもしれない。

しかし、現状の停滞を打破し、時代の流れを先取りするような破壊的イノベーションを創造するには、目の前の業務や組織の壁を越えた発想が必要だ。その意味で、丸紅の取り組みは興味深い。

ただ、こうした取り組みが社内に浸透するには、人事評価の視点を変える必要もある。丸紅は、「社内副業」新規事業の創造による成果は人事考課に反映させるそうだが、その成果は、新規事業を生み出した担当者だけによるものではない。その担当者に機会を与えた上司や組織によるものでもある。したがって、その担当者が所属する組織にもプラスの評価を与えることが重要だ。そうすれば、どの組織も新ビジネスを創造するための時間を積極的に確保するようになり、会社全体で組織を越えた新規事業の開発を競うようになるだろう。そうなれば、それは、もはや副業ではなく、本業の一部だ。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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