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国をまたぐ雇用が急成長、ネットで請負37兆円市場へ

インターネット経由で単発の仕事を依頼したり、受注したりする請負経済(ギグ・エコノミー)市場が世界に広がっている。米国などが新興国からIT(情報技術)人材などを調達するケースが増え、あと7年ほどで世界の市場規模は37兆円に成長するとの試算もある。デジタル経済の恩恵で有能な個人には国境を問わず雇用の門戸が広がる一方、先進国の労働単価には下落圧力が強まるとの観測も増えている。
(日本経済新聞 1月26日)

インターネットの普及によって、ネットで受発注する仕事に国境は無くなった。たとえば、インドのITソフトウェア産業が急成長したのは、米国の需要を吸収してきたからだ。米国と同様の英語圏で、かつ、時差があるために、米国が夜の間に仕事を行い、米国の朝の始業時には結果を返すこともできる。米国企業は、米国とインドの2極による24時間体制で業務を継続し、生産性の向上とリードタイムの短縮を実現してきた。
インドは、元々、理科系の人材が豊富で、米国の大学で教育を受けた技術者も多い。加えて、ソフトウェア産業は、ハードウェアを製造する製造業と比べて設備投資が少なくてすみ、人材さえ確保できれば事業拡大は比較的容易だ。同様の条件は、インドの隣国のバングラデシュやパキスタンにも当てはまる。今や南アジア全域がギグ・エコノミーの受け皿になりつつある。

日本は英語圏ではないが、このグローバルなギグ・エコノミーの拡大と無縁ではない。たとえば、AIの普及によって、今まで人手に頼っていた業務がAIに置き換えられようとしている。AIの付加価値は主にソフトウェアが生み出す。したがって、業務のAIへの転換は、雇用のギグ・エコノミーへの転換でもある。日本は、ギク・エコノミーを有効活用して生産性を向上されるとともに、ギグ・エコノミーにおける国際競争力の強化に取り組まなければならない。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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