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ロボットと仕事競えますか 日本は5割代替

人工知能(AI)の登場でロボットの存在感が世界で増している。日本経済新聞と英フィナンシャル・タイムズ(FT)が実施した共同の調査研究では、人が携わる約2千種類の仕事(業務)のうち3割はロボットへの置き換えが可能なことが分かった。焦点を日本に絞ると主要国で最大となる5割強の業務を自動化できることも明らかになった。人とロボットが仕事を競い合う時代はすでに始まっている。
分析ツール : https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/ft-ai-job/

調査の結果、全業務の34%に当たる710の業務がロボットに置き換え可能と分かった。一部の眼科技師や食品加工、石こうの塗装工などの職業では、すべての業務が丸ごとロボットに置き換わる可能性があることも判明した。ただ、明日は我が身と過度に心配する必要はない。大半の職業はロボットでは代替できない複雑な業務が残るため、完全自動化できる職業は全体の5%未満にとどまる。
(日本経済新聞 4月23日)

業務の3割がロボットに置き換わるからといって、労働人口の3割がロボットになるわけではない。ひとつの職業は、多くの業務の組み合わせで構成されているため、すべての業務が自動化できる職業は、それほど多くない。

たとえば、この分析ツールで、業種を「ビジネス、ファイナンス」、職業を「業務スペシャリスト」と選択すると、この職業を構成する全117業務のうち19業務がロボットで代替でき、自動化率は16.2%であると表示される。100%自動化されるわけではないので、世の中から「業務スペシャリスト」がいなくなるわけではない。

ただ、「業務スペシャリスト」の需要が一定なら、自動化された16.2%の分、「業務スペシャリスト」の雇用が減る可能性はある。これを雇用の危機とみなすか、あるいは、人手不足の救世主と見るかは、立場によって異なるが、歴史がどちらに軍配を上げるかは日本経済がどれほど成長するかにかかっている。願わくは、後世の人々が、21世紀はAIとロボットが人手不足の救世主であった、と記憶してくれるように、なってもらいたいものだ。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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