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「すき家」深夜復活へ、バイト時給2年連続上げ

ゼンショーホールディングスが2年連続で全パート・アルバイトの時給を引き上げる。2017年4月の消費税率引き上げが視野に入り、外食業界には先行きを不安視する声が多い。それでも人的投資を拡大するのは屋台骨の牛丼店「すき家」で人手不足のために深夜営業を休止したままの店舗が残っているためだ。時給引き上げを全面再開につなげ、改善途上の業績にさらに活を入れる。
14日、約10万人のパート・アルバイトの時給を4月から平均2%上げると発表した。上げ幅のうち1%分は全員一律の引き上げに充て、残り1%分で地域や勤続年数による差をつける。約900人の正社員が対象のベースアップ(ベア)も4年連続で実施。月額1500円のベアに定期昇給分を加えると、正社員の昇給幅は2%になる。

パート・アルバイトの時給は通常、勤務評価や勤続年数などに応じて個別に引き上げられる。全員一律というゼンショーの取り組みは珍しい。

すき家は14年に過重労働問題が発覚し、イメージの悪化が客離れにつながった。店員が1人になる深夜の営業体制にも批判が集まり、全店の6割にあたる1200店超で深夜営業を休止した。結果、15年3月期は回転ずしやレストランなどの伸びで増収は確保したものの、最終損益は111億円の赤字に転落した。
(日本経済新聞 3月15日)

新興国経済の減速や円高で、製造業を中心に厳しさを増す日本経済ではあるが、外食や小売業での人手不足は続いている。ゼンショーに限らず、マクドナルドなど他の大手も賃上げに動いており、昨年に続き、今年も人材獲得合戦は激しくなりそうだ。

特に、「すき家」の場合は、パート、アルバイトの確保ができないために、深夜営業ができない既存店を多数かかえているという事情もある。既存設備を深夜遊ばせておくより、賃上げをしてでも人材を確保して稼働させた方がよいと考えるのは当然だ。

ただ、「すき家」のように低価格が売り物の外食産業では、コストに占める人件費比率が高くなる。ブラック企業にならずに競争力を維持、強化するには、なお一層の生産性向上の工夫が重要だ。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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