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退職後の農業移住誘う、群馬のファームドゥ、畑近くに集合住宅

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産地直送野菜を生産・販売するファームドゥ(前橋市)は群馬県高崎市に高齢者向け集合住宅を建てる。団塊世代が相次ぎ定年退職するなか、都市部から地方への移住を希望する人に集合住宅に住んで農作業をしてもらう。投資額は約4億円を見込む。
集合住宅は2015年夏の完成見込み。木造2階建てで、延べ床面積は約1800平方メートル。15年春に入居募集を始める予定だ。単身用(広さ約50平方メートル)と家族用(約100平方メートル)で計20戸を用意する。各部屋はバス・トイレ付き。ファームドゥが農機具などを貸し出し住民が共有する。家賃は1カ月5万円程度に抑える方針という。
カネコ種苗や日立システムズと協力し同住宅近隣で来春をメドに耕作放棄地など約16ヘクタールを整備。小松菜やミツバなどを栽培する。透光性が高い太陽光パネルで発電し、電力会社への売電収入も得る。農作業をする人は1カ月10万円程度の収入を得られる見込みだ。
高齢者ら約150人を働き手として雇用する方針。うち首都圏で雇った人を中心に25~30人程度に集合住宅に住んでもらう。同社は群馬県や首都圏で農産物直売所「地産マルシェ」などを運営し、連結売上高は14年2月期で約73億8千万円。(日経MJ 11月21日付)

地方再生は安倍政権の主要な政策課題とされているが、円安でも製造業の海外移転が進む中、地方の雇用を増やすのは難しい。

しかし、地方には、耕作放棄地や宅地など安価な資源が多く眠っている。農業が今までのように家族を単位とした農家から組織で事業を行う法人に担い手を変えていけば、このような資源を活用して、新たな成長の余地を開拓することができる。

法人であれば、重労働は若い人と分担し、高齢者は自分の体力に応じた仕事を選択して行うことができ、高齢者の雇用機会を増やす上で有利となる。

群馬のファームドゥが踏み出したのは小さな一歩だが、このような動きが全国に広がれば、地方での遊休地の利用と雇用の拡大、都市部から農村部への人口の移動、高齢者の雇用拡大など多くの経済効果があるだろう。今後の広がりに期待したい。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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