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民間給与、2年連続増加で平均415万円――国税庁調べ

 
民間企業に勤める人に2014年の1年間に支給された給与の平均は、前年比0.3%増の415万円で2年連続で増えたことが30日、国税庁の民間給与実態統計調査で分かった。給与の内訳は給料・手当が353万円で横ばい。賞与は62万円で2.6%増えた。

雇用形態別の平均給与は、正規労働者が1.0%増の478万円、派遣社員などの非正規労働者が1.1%増の170万円で2.8倍の差があった。

業種別でみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」が655万円でトップ。「金融・保険業」が610万円で続いた。最も低いのは「宿泊・飲食サービス業」の237万円だった。

1年を通じて勤務した給与所得者数は4756万人(2.4%増)となり、過去最多を2年連続で更新した。うち男性は1.9%増の2805万人。女性は3.1%増の1951万人で過去最多。平均給与は男性514万円、女性272万円だった。
(日本経済新聞 10月1日)

給与水準が上昇傾向にあり、かつ、給与所得者数が増加していることは、デフレ脱却へ向けて、日本経済が回復傾向にあることを示唆している。一般的には、雇用が増加するとき、低所得者が新規に職に就く比率が高まるため、給与の平均値は下がることが多い。2014年は、その押し下げ要因を超えて、給与水準全体が上昇したことになる。この傾向は、過去最大のベースアップとなった今年も継続するだろう。

ただ、給与の増加率は、消費税増税や円安の影響に比べて大きくない。給与所得者が物価を超えた給与の上昇による実質賃金の増加を実感できなければ、消費拡大にはつながらない。足元では、実質賃金はプラスに転じているが、まだ、実感を伴うところにまで至るには距離がある。

10月1日に発表された9月の日銀短観では、雇用人員判断の需要超過幅が1ポイント拡大し、人手不足が進行していることが伺える。この人手不足による賃金上昇が先導する形で、2%の物価上昇目標が達成されることを期待したい。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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