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理研、組織再編―ドクター受難の夏

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理化学研究所は27日、STAP細胞論文を巡る問題で、研
究不正の再発防止を目的とする組織改革案を発表した。小保方晴子研究ユニットリーダーが所属する発生・再生科学総合研究センター(CDB)は組織を大幅再編し、規模を半分に縮小する。理研は雇用は守る方針だが、若手研究者には動揺が広がりかねない。ドクターたちにとって受難の夏となった。
日本の頭脳と呼ばれた理研の研究者は博士号を取得した後、国が助成する研究プロジェクトなどの資金で雇われる。5年間の任期の間に成果を出し、次のポストを見つけて研究者としてステップアップしていく。CDBには約400人の研究者が所属、その多くが5年程度の任期付きだ。
理研は改革案の中で、CDBに約40ある研究室を理研の他のセンターに移すなどして雇用は維持することを示した。ただ笹井芳樹副センター長が自殺するなど、腰を据えて研究する環境にはほど遠い。野依良治理事長らは午後に都内で記者会見し「安心して研究を行えるよう適切な環境を整える」と話した。
(日経産業新聞8月28日)

STAP細胞論文に意図的な不正があったかどうかは別にしても、稚拙な研究論文が世に出てしまったことは事実だ。理研としては、再発防止のために組織改革をせざるを得ないし、また、するべきだ。発生・再生科学総合研究センター(CDB)の規模縮小もやむを得ない。

ただ、研究者の雇用は守るべきだ。少なくとも研究者が任期中に研究の場が奪われるような事態は避けなければならない。

理研は日本で最も有能な科学者が集まる研究機関のひとつだ。ここで研究することを目指して努力している若い研究者も多い。今回のCDBの改革を通じて研究環境を改善し、今後とも彼らの目標となる研究機関であり続けるのが、理研に課せられた社会的使命だ。

野依良治理事長の「安心して研究を行えるよう適切な環境を整える」という言葉に期待したい。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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