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シャープ給与削減へ、管理職5%、一般社員は2%

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シャープは管理職の給与を2016年3月期に5%カットする方向で調整に入った。一般社員は2%程度を軸に削減を検討しており、近く労働組合に提案する。賞与にあたる一時金は15年に加え、16年夏も低水準に抑える方向だ。同社は15年3月期に1000億円を大幅に超える最終赤字となる見通し。一連の人件費抑制策で年100億円超の経費を削減する。
同社の国内グループ会社の管理職は4千人弱。液晶への投資失敗で巨額の赤字を出した12~13年3月期の経営危機時には12年4月から14年3月まで給与を5~10%カットしていた。業績が改善した14年4月からは通常通りに戻したが、今年4月以降に再び減額する。
一般社員の給与カットは前回と同水準の一律2%減とする方針。当初1・5%減で検討していたが、15年1~3月期の収益が一段と悪化し、減額幅を積み増す見通しだ。
(日本経済新聞3月26日)

春闘で過去最高のベースアップが相次ぐ中、個別には、シャープのように、業績が低迷し、給与削減に動く企業が出てきた。

シャープはテレビ事業など主力事業の採算が悪化し、15年3月期の連結赤字は1千億円を超える見通しだ。既に、16年3月期に国内従業員の1割強にあたる3千人の希望退職を募集する方針を決めている。15年の冬の賞与も1か月分と昨年実績の4か月を大きく下回っている。

主力銀行のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行に資本支援を要請し、構造改革を進めようとしているが、テレビに代わる主力事業の柱を見い出すのに苦慮している。財務状態が悪化し時間が限られている中では、人件費を含む固定費の削減はやむを得ない。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業との出資交渉も再開されたが、鴻海がシャープを買収すれば、さらにドラスティックなリストラは避けられない。

シャープと同様に家電事業の低迷に苦しむソニーは、全事業を分社化して他の企業との提携や事業統合を容易にする道を取り始めた。シャープもまた、シャープという企業の枠を越えて人材や技術、資本などの経営資源を共有する道をたどることになるだろう。それが日本企業間で行われるなら、日本の電機産業全体での経営資源の最適配分につながることになる。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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