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ファーストリテイリング、来春の新卒採用2割増、最高の1200人を計画

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ファーストリテイリングは2016年春入社の国内の新卒採用数を約1200人と、15年春の採用実績よりも2割増やす。15年春入社の約1000人を上回り、過去最高となる。同社は15年8月期にカジュアル衣料品店「ユニクロ」を中心に国内外で約300店を出店する計画で、16年8月期以降も店舗を増やす方針。海外で店舗を運営できる人材の育成を急ぐ。
採用はユニクロが中心で、低価格衣料品店のジーユーなど傘下の主力企業も合わせた。ユニクロの採用数の約半分は、短時間勤務が可能で勤務地を限定する「地域正社員」とする。地元で働きたい人の要望に応じ、人手を確保する狙いだ。
採用拡大のため、全国の大学と連携する。3月から各地の大学で会社説明会を100回以上実施する予定。従来は東京都や大阪府など大都市を中心に開いていた。
(日本経済新聞2月26日付)

国内のユニクロは秋冬商品の値上げで売り上げが伸びており、海外ユニクロも中国を中心としたアジア市場で成長が続いている。低価格店のジーユーも商品の見直しで収益を回復しており、ファーストリテイリング全体で増収増益が続きそうだ。

加えて、昨年末からの円安が増益に寄与している。もともと中国で安く生産したアパレル商品を日本で大量に早く売ることで収益を上げるのがファーストリテイリングのビジネスモデルだった。しかし、海外売上の比重が大きくなった今では、円安は海外子会社の外貨建て資産の評価益を増加させ、会社全体の収益を押し上げる。また、国内での円安によるコストアップは、ヒートテックなどの高付加価値商品を値上げすることで吸収し、利益を確保している。小売でも、トヨタのような製造業と同様に、円安を増益に結び付けるグローバル企業が出てきたことは、歴史的とも言える。

グローバル市場で成長を続けるこうした小売業が、国内で大量採用に動き、賃金を上昇させることは、国内の雇用環境の改善を促進させ、日本経済のデフレ脱却に寄与する。この動きが小売業界全体に波及することを期待したい。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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