金融業界におけるヘッドハンティング

金融業界におけるヘッドハンティング

有効求人倍率が1.4。完全に売り手市場になっている転職市場。
広告だけでは人材が採れないケースが増え、企業がヘッドハンティングで人材を探すということが特別なことではなくなってきています。

ヘッドハンティングと聞くとCEOやCOOなど経営幹部人材を外部から引き抜いてくるというような案件をイメージされることが多いですが、近年では、課長、部長クラスの採用でヘッドハンティングを使う企業が増えています。
ヘッドハンティングのターゲットは広がり、あなたにヘッドハンターから電話がかかる可能性は大いにあるのです。

ここでは、金融業界におけるヘッドハンティングを使った採用について見てみましょう。

ヘッドハンティングの手法を使って採用をするのは、主に外資系の銀行や証券会社です。
日系の銀行や企業は新卒一括採用が採用計画の核になっているので、そもそも中途採用の割合も少なく、特殊な専門性の高いポジションでない限りヘッドハンティングで採用をするケースは希です。

ヘッドハンティング会社から外資系の案件で連絡が来た場合に確認すべきこと

ヘッドハンティング会社から電話やメール、手紙が来て次のように書かれていたとします。

「弊社はある外資系銀行から依頼を受け、東京支店の営業部門の幹部候補を探しています。」

この場合、その外資系銀行の本社採用で東京支店配属なのか、もしくは東京の現地採用枠なのかということを確認する必要があります。
前者の場合は、日系企業で言うところの総合職で、たとえば何らかの理由で東京支店が閉店になっても違う支店への異動ということになりますが、
後者の場合はいわゆる一般職で東京支店が閉店になれば、そこで解雇ということになります。

外資の場合年収など待遇面では日系金融機関や証券会社よりもよい条件が提示されるケースがほとんどですが、どの組織で採用されるのかをよく確認をして自身の描くキャリアパスと一致しているのかをよく考える必要があります。

スカウトレター、電話から求人企業を推定する

ヘッドハンティング会社からの電話やメール、手紙には具体的な求人企業名が伏せられていることがほとんどです。
その求人に興味があることを示して、ヘッドハンターと面談するまでは企業名はほぼ明かされないでしょう。
しかし、興味が持てるのかの判断材料や、自分のキャリアやスキルがどの企業のどのポジションから求められているのかを知りたいのは当然のことです。

スカウトレターの文面や電話での説明で、

「弊社はある証券会社から依頼を受け、人事部門の幹部候補を探しています。」

これでは正直よくわかりません。

この場合は、ヘッドハンティング会社に「社名は明かせないかもしれないが、求人会社の特徴や業界内の位置づけについて情報が欲しい」とリクエストしてみてください。
その結果「独立系証券会社で高い営業力が強みの国内最大手の証券会社」など企業を修飾するキーワードを引き出すことができれば、求人企業の特定は容易です。
またこの質問で制約がある中、企業のことをどれだけ説明できるかというヘッドハンターの力量を測ることもできます。

加えて、業界内の売上規模、資本金、社員数などを把握しておくとヘッドハンターから声がかかったときに、ヘッドハンターから得られた少ない情報でも求人企業を特定することができます。
また、求人情報が公開されている案件もあるので求人票などで売上規模や資本金、従業員数などの情報は調べればわかるケースもあります。
では、実際に証券業界と銀行の比較を見ましょう。

証券業界企業比較

下記表では、証券業界全体の数字と売上上位10位の証券企業をリストにしています。
資本金は上位５社に絞ってもかなりの差があるので、指標にすると求人企業を割り出せます。

国内銀行比較

下記表では、銀行業界全体の数字と売上上位10位の銀行をリストにしています。

ヘッドハンティング会社から連絡があった際にはできるだけ多くの情報を引き出すことを心がけてください。
特に売上規模や従業員数などの情報は求人企業を確定させることができるので、この表を参考にエージェントとの面談を進める判断指標に、面談の準備に活用してください。