2016/09/01
ヘッドハンティングと聞くとCEOやCOOなど経営幹部の採用時に、外部の優秀な人物を引き抜いてくるというようなイメージで捉えられていることが多いでしょう。
しかし、有効求人倍率が1.4倍。完全な売り手市場では、従来の求人広告ではほしい人材が採れないのが現状です。
特に専門性が高い、母集団の少ない職種などでは、部長、課長クラスの案件でもヘッドハンティングを使って採用することが珍しくなくなってきています。
ヘッドハンティングのターゲットが広がっている今、あなたにヘッドハンターから電話がかかるのはあり得ないことではないのです。
ここでは、特に専門性の高い業種の多い製薬業界を見ていきましょう。
製薬会社はその業界特性から専門性の高い職種が多く、1つの分野を極めたスペシャリストの採用は、登録型の人材紹介や転職サイトの広告ではなかなか適材を採用することが難しいのが実情です。
そもそもスキルや経験の素晴らしい人材は転職をしなくともよい条件で働いている人がほとんどで、人材バンクにその分野のキーパーソンのような優秀な人材は登録されていないことから転職意欲のある登録人材からではなくターゲットを特定したスカウトを行います。
そのためヘッドハンティングを使う企業が多く、特に専門性の高い職種ではヘッドハンティングのターゲットになることが多くあります。
【1】求人企業はどこなのか?推定する
ヘッドハンティング会社からのファーストコンタクト(電話、メール、手紙)の時点では、求人企業名は伏せられていることがほとんどです。
「現在弊社はある製薬メーカーから依頼を受け、人事部門の幹部候補を探しています。」
しかしこれだけでは情報が少なすぎます。
この場合は、「社名は明かせなくとも、業界内のポジションやその企業の特徴を教えてほしい」とヘッドハンターに聞いてみてください。
その結果、たとえば「国内大手製薬メーカー四社の一角を占める企業で、泌尿器領域と移植領域においては国内のみならず国際的にも評価の高い製薬メーカー」
このようなキーワードを引き出すことができれば、求人企業を推定することは容易になります。
加えて、売上規模や資本金など業界内企業の定量情報を把握しておくと、求人票がオープンになっている案件などでは求人企業を確定することができます。
以下が国内製薬メーカー売上上位10社の各指標です。(平成27年度決算より)
大手4社とそれ以下は売上規模に大きな差があります。
売上規模、従業員数などを求人票の情報と比較して求人企業を特定するのに活用してください。
企業名 | 売上 (億円) |
資本金 (億円) |
従業員数 (連結) |
平均年収 (万円) |
---|---|---|---|---|
A社 | 18,073 | 636 | 6,780 | 959 |
B社 | 14,452 | 816 | 30,638 | 1,115 |
C社 | 13,727 | 1,030 | 17,217 | 1,068 |
D社 | 9,834 | 500 | 15,249 | 1,092 |
E社 | 5,479 | 449 | 9,877 | 1,093 |
F社 | 4,988 | 729 | 7,169 | 935 |
G社 | 4,317 | 500 | 8,125 | 880 |
H社 | 4,032 | 224 | 6,697 | 840 |
I社 | 3,643 | 267 | 7,435 | 820 |
J社 | 3,099 | 212 | 5,896 | 890 |
【2】ヘッドハンターはどれだけ自分のことを知っているのか?提案されたポジションは自分のスキルセットと合致しているのか?
ヘッドハンティング会社が、候補者にアプローチするのは、指名スカウト形式とロングリスト形式という2種類のアプローチがあります。
指名スカウトとはクライアント企業が指名した人材をスカウトすることであり、対象者の名刺や個人の連絡先情報をクライアント企業から得てアプローチするもの。
ロングリスト形式というのはクライアントが特に指名する候補者はおらず、対象企業や部署のみを確定し、あとはランダムにヘッドハンティング会社がリストアップした人材にアプローチするものです。
指名スカウトの場合は、あなた個人へのスカウトでありもちろんあなたの情報はクライアントを通じてヘッドハンターもよく知っています。
そのため、提案されるポジションもあなたのスキルセットと多くの部分で合致しており、即戦力で働けるポジションであることがほとんどです。
対してロングリスト型でアプローチをされる場合はあなたの経験やスキルを把握しているわけではなく、通常はヘッドハンターとの面談で案件にマッチしているか判断が行われ、それをパスすると求人企業との面談に進む流れとなります。
ファーストコンタクトでは、以下2点を確認し、考えてみてください。
前述したように、ロングリスト型でアプローチを受けた場合は、現職の役職しか知らないでアプローチしているケースもあり、当然このような場合はほとんどあなたの情報は把握しないままにアプローチしていることになります。
但し、調査ノウハウ、ネットワークを持つヘッドハンティング会社であれば、あなたの情報を調べる手段を複数持っています。
様々な手段を使って、自分の情報を得た上で、具体的で精度の高い案件を提案してくるヘッドハンティング会社やヘッドハンターは信頼しても良いでしょう。
是非「私のことどれだけ知っていますか?」と質問してください。
たとえば「人事」といっても、「教育」なのか「グローバル人事」なのか「採用」なのか?、そのポジションでのミッションは何か?ということを突っ込んで質問してください。
また、求人企業には何かしら課題があり、それを解決するために人材を採用したいと考えているケースがほとんどです。
その課題を聞くことで、自分がどうして必要とされているのかが明確になりますし、
この質問をすることで、ヘッドハンターがどれだけクライアント企業とのリレーションが構築できていて、クライアントを理解しているのかヘッドハンターの力量を測ることができます。
製薬業界はM&Aも多く、いくらスペシャリティーな人材でもその部署や事業が撤退になれば、転職を考えなくてはいけない時があります。
そのような場合に、優秀なエージェントを知っているというのは大きな強みです。
せっかくヘッドハンターから声がかかったのですから、もし今回の案件で候補者になり得なかったとしても、良いエージェントと良好な関係を保ち、業界の転職市場や人材ニーズについて情報提供をしてもらう事は大きなメリットになります。
クライアントの課題、それに対するポジションのミッションが自分のスキル、経験にマッチしており、自分をスカウトしたい理由に納得ができれば、ヘッドハンターとの面談を進めてみてもよいでしょう。
この機会で、自分のスキルの棚卸しをし、自分のキャリアパスについて考えてみることをお勧めします。
ヘッドハンティング会社から連絡があったら、
ファーストコンタクトの時点では、ヘッドハンターもクライアントとの守秘義務がありますのですべての質問に答えないケースも多々あります。
ただ、守秘義務の制約の中でポジションの魅力ややりがいを伝えてくるのかヘッドハンターの質を図ることはできますし、的確な質問は案件があなたの希望に近い場合あなたの評価を上げることにつながります。
今後ヘッドハンターからの電話を受けることがあれば、是非この記事を参考にヘッドハンターに質問をして信頼できる提案なのか判断してください。
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