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人材業界No.1ヘッドハンターが解説
あなたはヘッドハンターから狙われる人材か?

ヘッドハンティングで採用をする企業が増えている背景とは?

足許有効求人倍率が1.4倍を超え、選り好みをしなければすべての人が仕事に就ける環境下、企業側は優秀な人材の獲得に苦戦しています。
転職サイトなどに求人広告などを出したり、登録型の人材紹介サービス使うのがこれまでの採用の常套手段でしたが、これでは採れない層の人材がいます。

リーマンショック後、企業は経営の立て直しをしてきましたが、既存事業だけでは今後の成長はないと判断し、新規事業にのりだす企業が増えています。
ただし、新規事業の事業長ができる人材は社内にはいないケースが多い。いままでやってこなかった分野の専門家が必要になるからです。
そこで外部から人を採用してという流れになるのですが、現在の人材の需給関係から考えても、新規事業を立ち上げ、成功させるようなキーマンは登録人材にはなかなかいません。
そのほかにも、母集団がとても少ない専門職の採用や採用期間が短いなど求人広告や人材紹介では結果が得られない場合に、ヘッドハンティングという手法を採用する企業が今とても増えているのです。

ヘッドハンティング2つの手法

一般的にヘッドハンティングと聞くと、大企業のCEOやCOOなどの採用時に、業界内でできると評判の競合他社の人材にアプローチし、スカウトするというのをイメージする方が多いといいます。
これは、「指名スカウト」といい、求人企業が採用したい人物の個人名や所属を特定してヘッドハンティング会社に提供し、スカウト活動をヘッドハンティング会社に依頼する手法です。

対して、ヘッドハンティングにはもう一つ手法があり、これが「ロングリスト型」という手法です。
「ロングリスト型」というのは、求人企業に採用したい個人は特定できていません。
ヘッドハンティング会社が、求人企業から人材要件をヒアリングし、採用したい人材が在籍するであろう会社や部署を特定しそこの人材をリスト化する。そのリストの人材に対してランダムにアプローチをかける手法です。

近年増えてきているのは、この「ロングリスト型」によるヘッドハンティングで、アプローチを受けた人物が今後どのような採用フローを経験するかというと、案件に興味を示すと一人だけスカウトされたわけではないため、ヘッドハンターによる適正面談が行われ、その後企業からの採用面談が行われるという流れになります。
スカウトはされていますが、企業側も複数の候補者を抱えており、通常の採用フローに近いものになることが多いのです。

企業がヘッドハンティングで採りたい人物はどんな人物なのか?

私がこれまで担当させていただいた企業様が、ヘッドハンティングを採用されるときにおっしゃるのは、
「人材要件に近い人物なら登録型の人材紹介会社でもいるが、質のいい人材が上がってこない」
ということです。

ここで言う「質」とはもちろん企業様それぞれの基準があり、これという基準はないのですが、
「転職歴」を一つの基準として持っている企業は多いと思います。
いわゆる「履歴書がきれいな人」ですね。どうしても人材バンクにいる人材は転職歴が多い傾向にあります。

それから、「人材要件に近い」人材はいるが、「完璧に合致する」人材を登録人材から見つけることは困難です。人材要件にもよりますが、専門性や特殊な経験などが人材要件で、あてはまる母集団が少ない場合、ヘッドハンティングであれば登録人材以外の業界内すべてからターゲットを探すことができます。
前述したように、競合他社の部署まで特定してアプローチするとかなりの確率で人材要件に近い人材をリストに挙げることが可能です。
専門性の高い職種の方は、それだけヘッドハンターのターゲットになる確率が高まるということです。

ただ、営業や人事など母数が多い職種でも、経験により求められる可能性は大きくなります。
グローバル化が進む中特に海外経験は評価が高いといえますが、ただ海外で業務経験があるということではなく、例えば営業であれば海外の営業拠点立ち上げから現地社員の教育までやった経験や、人事ならタイの現地法人での採用を担当してタイの労働法に精通しているなど、企業が海外へ進出しようとするタイミングで必要になる経験を持っている人材は企業にとってとても魅力的な人材です。

他の会社からヘッドハンティングしたいと思われる人材になるには?

自分のキャリア形成は、企業にいる限り自分の意志を100%反映させたものにすることはできません。人事異動は会社主体で行われ、自分のキャリアにそぐわない人事異動を命じられることもあるでしょう。前述したような海外経験も、会社がそこに行かせてくれない限り積めない経験ですし、様々な部署を少しずつ経験し、自分のスペシャリティが育たなかったと感じている人も多くいます。

では企業人でありながら、自分主体のキャリア形成をするにはどうするべきか?
それはごく当たり前のアドバイスですが、
「目の前の仕事を一生懸命にやり、実績を残すこと」です。
あとは、早めに自分の得意分野、なにがやりたいのか?自分のキャリアでやりたいのはどんな経験なのか?を見つけることです。
実績があり、実力がある人材をいろんな部署をたらいまわしにする会社はそうはありません。
社内の評価を上げ、希望も出しそれでも自分のキャリアに合わない人事異動を言い渡されたときは、転職を考えてもいいタイミングです。
ただ、最近は社員の希望を人事異動に反映させる制度の企業も増えてきましたし、社内でのキャリア形成にせよ、転職してキャリア形成するにせよ、自分が何をやりたいのか?どの分野でキャリアを積みたいのかを明確にすることがまず大切です。明確になったらそれを社内、社外でたくさんアピールしてください。
あなたが優秀な人材であれば、社内の人事は無視できないでしょうし、社外のヘッドハンターが情報を収集しているかもしれません。

自分の市場価値を知るには?

自分の市場価値を知るのに一番簡単な方法は、転職サイトに登録しどんな案件を紹介されるか?どんな会社からスカウトか来るかを知ることです。
その案件の大まかな年収などが分かれば、あなたの市場価値を知ることができます。
ただし、人材市場は常に動いています。
市場動向、つまり今どんな職種が求められているのかなどを知るには実績のあるキャリアコンサルタントと良い関係を持っておくのも一つの手です。
転職サイトに登録したときの担当コンサルタントが信頼できるのであれば、その人にすぐに転職する気はないがいい案件があれば連絡してほしいと自分の希望を伝えておくのもよいでしょう。

ただし、登録型の人材紹介会社のコンサルタントは、契約が成立しやすい案件を優先的に扱っているので、すぐ動く気がないのであればあまり良い情報提供者にはならない可能性もあります。

今後あなたにヘッドハンターから連絡があり、残念ながら提案された案件では転職しなかったが、コンサルタントが信頼できる場合は、今後もそのコンサルタントと良い関係を築くことをお勧めします。
ヘッドハンティング会社のコンサルタントは、クライアントである企業へ人事計画から提案している場合もあり、長期的にクライアントと取引関係があるコンサルタントが多くいます。
業界や人材市場への知見も深いコンサルタントに出会ったら、その場だけの関係にしないことです。

60歳以上でも働ける人材とは?

日本にはまだまだ定年制度がある企業が多く、60歳を超えてそれまでと同じ条件で働くことは正直に言って非常に難しいです。
特に、専門分野や特別なスキルのないジェネラリストで長年のキャリアを形成してきた人は、ほぼこれまでの経験を生かして働くことは困難でしょう。
年齢を重ねると、今まで以上に個人のスペシャリティが重要になります。それがあったとしても、市場で価値がなければまたそれは意味のないスペシャリティになります。
エンジニアや品質管理、製薬会社の薬事部門や法務など手に職がある職種や専門性が高く母集団の少ない職種では、60歳以上でも顧問やアドバイザーなどで活躍している例が弊社でも多くあります。

セカンドキャリアはいつから考えるのか?

大企業に勤めていると、40代半ばから後半で自分の今の会社でのキャリアの着地点が見えてくるものです。
それが見え始めたら、次のキャリアについて考えてもいいと思います。
会社に属さないという可能性も含めて、資格を取ったり、趣味を仕事にできないかと考えてみるのもいいでしょう。
その時には、いままでのキャリア、人生の棚卸をしてこれから何をやりたいのか?すべきなのか?を考えることが重要です。

福田 博一Hiroichi Fukuda

2010年4月から2012年3月まで三井住友銀行執行役員。「三方よし」の精神をベースに、常に既成概念に囚われない新しい「アイデア」と「情熱」をもって、企業の組織活性化とシニア人材の有効活用を実践する。これまでの経験を活かし、金融、会計・税務、IT関連の案件を担当。
リクルート調べ「転職エージェントランキング コンサルタント部門」 総合ランキング第1位を受賞。 (2015年4月~9月期)

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