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4月入社の人材業界のフレッシュマンへ

昨年の春、4月に人材業界へ新入社員として入社されるフレッシュマン向けにこんなメッセージを書きました。
この春から人材ビジネスを始めた君へ

1.地道な努力の積み重ねが、信頼を生みます。
2.人材紹介会社は営利法人で、コンサルタントとは営業職です。
3.主役は「人材」であるということ

今読み返してみると、説教臭いことを色々と言う「意識高い系困った大人」な文章に、あーやってしまったな、と思うこともありますね。
ただ、人材ビジネスの表面だけ見てこの業界へ飛び込むと色々と後々辛い思いをするので、きっとどなたかの役に立っていれば嬉しく思います。

さて、今年ですが、企業収益は絶好調、人材業界も概ね好調、多くのフレッシュマンがこの業界へやってきました。
今年はさらに偉そうに「2つのポイント」について書いてみたいと思います。

ちなみに私は前職ではクラッシャーと揶揄されるような、とてもひどいとんでもないマネージャーでしたので、その反省も踏まえて記載します。

入社一年目のポイントとしては、
1.最初の1年でビジネスキャリアの将来が決まってしまうことを意識した期待を集める行動、
2.仕事は選ばず、どんどん引き受けること、
3.コミュニケーションは「1.直接会う、2.電話する、3.メールする」の優先順位で」です。

 

1.最初の1年でビジネスキャリアの将来が決まってしまうこと

会社の規模によって幾分時間軸は変わると思いますが、「最初の1年でビジネスキャリアの将来が決まってしまうこと」は日ごろから多くのレジュメを拝見しているとよく分かります。
人材業界は2000年代初頭の市場形成がまだまだ固まっていない頃からすると、相当に産業として成熟しましたが、まだまだ年齢にそれ程関係なく成果を残すことが可能な業界です。
20代、30代で圧倒的な成果を出し、事業経営に携わっている方々は概ね1年目から「周囲から大いなる期待を持たれて」います。天才的な営業センスのある方は別ですが(そんな人は意外と少ない)、多くの方が「努力型の秀才タイプ」です。
この方々の特徴としては、1年目、特に最初の3ヶ月くらいで何らかの成果、というかその萌芽を生み、「会社、経営陣の期待を一身に集める」ことに成功した方が多いと思います。
人材ビジネスはもちろんお一人で独立して大活躍されているコンサルタントの方も大勢いますが、折角会社に入社したのであれば、会社や先輩から多くのことを学び取ること、経営陣からの期待の眼差しを追い風に成長のチャンスを掴むことが成功への近道です。
周囲の期待を集めると、必然的に良い仕事(クライアント、案件)に巡り合い、継続的に成功するレールに乗ることが可能になります。また、会社全体を巻き込むプロジェクトメンバーになったり、経営者直轄で仕事をすることも増え、一つ高い目線での仕事に触れることが可能になります。
もちろん一つ一つの仕事をきっちりこなしていくことは必要なのですが、一度このリズムに乗っかることができれば、結果的に1年目以降も明らかに同期入社の新卒とは異なる水準でのキャリアパスを描くことが可能になります。
その意味でも最初の3~6ヶ月でスタートダッシュを決めること、周囲の期待を集めることにはこだわって仕事をスタートして欲しいと思います。

*よく営業大好き系人材会社で「名刺キャンペーン」なる突撃アポで名刺ゲットしてくる研修(?)が行われていますが、こういうのは頑張る意味がありません。時間の無駄です。私も前職ではこういう企画がありましたが、先輩(というか当時60歳超えていたので大先輩ですね)の名刺ボックスから適当に拝借して数字クリアした、ということにしていました。

 

2.仕事は選ばず、どんどん引き受けること

僕は(私は)雑用係ではない、と仕事を選びたい気持ちは分かりますが、「仕事は選ばず、どんどん引き受けること」は大切です。社会経験のない学生に対してどんな仕事が「自分に向いているのかどうか」は分かりません。与えられた仕事をこなしていく中で、「意外な発見」や「面白さ」に気が付くことも多く、これが長く仕事を継続する秘訣にもなります。
人材ビジネスにおいては、企業の規模やビジネスモデルによっては人材ビジネスはRA(リクルーティングアドバイザー、法人営業担当)とCA(キャリアアドバイザー、求職者担当)に業務分担して行います。
会社全体の生産性を考えた場合には、分業を行うことで従業員のタスクの種類を減らし、一部業務に集中させ、習熟度と生産性を上げていくことは、特に大手企業においては正しいとされています。
但し、これは従業員にとって考えると少々様相が変わってきます。というのもRAやCAというのは大手人材ビジネスでのみ通用するスキルであり、一歩外に出るとRAだけCAだけというのは仕事が一人では完結できない未熟な状態が長い間継続していることを意味するのです。
新卒入社当初は、RAやCAという配属が決まっていたとしても、周囲から色々な仕事を頼まれます。自社の展開しているビジネスを法人営業のスタートからマッチング、面談、紹介、成約までの一連の流れをできるだけ多く経験し、自社の展開するサービスが何たるかをできるだけ早く掴むことが、プロフィットセンターへの近道です。できるだけ自分はRA、CAという意識は持たずにクライアントファーストで何をすべきかを考えて仕事を設計していくと、人材業界の専門バカにならずに済みます。
加えて、仕事を選り好みせずに引き受けていくと、社内外の様々な業種/職種の同僚やパートナーとの出会いも増えます。この時に、一緒に仕事をしていく人のバックグラウンドを把握して仕事を進めていくことが大切です。誰がどのようなバックグラウンドを持ち、どのような強みやスキルがあるのかを把握しながら仕事をしていくと、誰に何を質問したら答えが返ってくるのかも同時に確認することが可能になります。
新入社員の個人の能力や経験、人脈はたかが知れており、限界があります。自分一人で悩んで解決していくことは確かに重要ではありますが、周囲の力や人脈を活用することで自分のキャパシティの何倍もの業務を効率的に行うことが可能になります。
特に人材ビジネスは「人を知っているかどうか?」が全てと言ってもよいビジネスモデルであるため、良い人脈を持った同僚に適切な働きかけをすることで、早期に成果を出すことが可能になります。

 

3.コミュニケーションは「1.直接会う、2.電話する、3.メールする」の優先順位で

さて最後に、コミュニケーションの優先順位です。「1.直接会う、2.電話する、3.メールする」の順番をいつも心がけてください。
人材ビジネスというのは、クライアント、キャンディデイトとの人間関係・信頼関係をベースとした仕事です。良く会って、良く話すことが相互理解を深めて信頼関係を生みます。相手の表情、声の調子、ジェスチャーなどは電話やメールではうかがい知れないのです。

クライアント企業の課題や魅力は求人票だけではな分かりませんから、できるだけ顧客には定期的なミーティングの機会を持ち、そのタイミングでの課題を把握するだけではなく、複数のクライアントメンバーと面会し、その会社の文化や社員のキャラクターの最大公約数を掴むことは成功に向けた重要なファクターとなります。
また、キャンディデイトについても同様であり、優秀な(と判断した)キャンディデイトとは時々お茶をしたり、ランチをしたりと直接会って色々な悩みや希望を確認することが信頼を生みます。

なお、仕事をしていると誰しも実は逃げたくなることがあります。
私も色々言っていますが、過去には「お金返してでも止めたいプロジェクト」に何度も遭遇し、匙を投げたい衝動に駆られました。(そして2度ほど匙を投げました)
人材ビジネスでは「逃げないこと」が何よりも大切です。特にクライアントやキャンディデイトとの連絡・報告の類は時々忘れてしまったり、ネガティブ情報をレポートするのが遅れてしまったりというのは、人間なので誰でもあります。但しこの1つ1つの積み重ねが社内外の信頼関係の基礎となりますので、悪い情報ほど早くレポートすることが重要です。

その意味でも「面会のアポを入れてしまう」ことは、自分自身を逃げられない状態に持って行くことになりますので、ネガティブ報告もできるだけ面会して行った方が良いと思います。

 

今年新卒で人材業界にやってきた皆さんは非常に良いタイミングでこの世界にやってきたと思います。
有効求人倍率は1.05倍と世の中に求人は溢れており、受注に苦労はありません。
皆さんが素晴らしい1年を過ごせることを大いに期待しています。


新入社員,人材ビジネス,信頼,コミュニケーション

三上 俊輔

著者情報:
三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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