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CRO業界の転職


抗がん剤をはじめとする新薬の開発競争が加熱するなかで成長著しいCRO業界。その市場規模は2017年に2000億円に迫り、今後も拡大が予想されます。最新のCRO事情について業界に精通した人材コンサルタントが解説します。

川野 純一Junichi Kawano

1981年立命館大学理工学部卒業後 バイエル薬品(株)にてMR・営業所長を経験 2000年11月よりクインタイルズ・トランスナショナルジャパン(株) インヴェンティヴ・ヘルス・ジャパン(株)でオペレーションディレクターオペレーションバイスプレジデント、事業開発ディレクターを経験した。2013年よりインヴェンティヴ・ヘルスの子会社で医療業界専門の人材紹介会社インプルーブドアウトカム(株)の代表取締役社長就任、2017年8月よりジーニアス株式会社に参画した。CRO業界のヘッドハンティング、転職事情に精通。

Topic1.臨床試験のプロフェッショナル ~CROの役割~

新しい医薬品が誕生するまでには長い時間と莫大な開発費を要します。はじめに動物でさまざまなテストを繰り返し有効性や安全性の評価を行った後、人を対象に行う試験が「臨床試験(治験)」です。
この新薬開発において最も時間と労力がかかる人による臨床試験を製薬会社に代わって行うのがCRO(Contract Research Organization:薬品開発業務受託機関)です。開発効率を高め、1日でも早く新薬を生み出すために主に臨床試験や製造販売後調査におけるデータの収集や分析などの業務をサポートします。

CROの主な業務

CROの業務は「臨床試験の企画支援業務」「モニタリング業務」「データマネジメント業務」「安全性情報(PV)」など、臨床開発に関する、ほぼ全ての業務であると言えます。

①臨床試験の企画支援
・サンプルサイズの設定、治療法の割り付け、解析方法、調査表の設計などの試験実施計画書(プロトコル)に関してのコンサルティングを行い、質の高い臨床試験が実施できるようにする。

②モニタリング(主にCRAが担当)

・臨床試験に参加する医療機関の担当医師を訪問し、プロトコル内容の説明
・試験進捗状況の確認
・調査表の記入依頼・回収・精査

③データマネジメント(主にDMが担当)

・臨床試験により集積された調査票データの精査、固定、集計
・回収された症例報告書(CRF)のデータ入力、チェック、修正

④メディカルライティング

・臨床試験実施に関わる申請書類や、薬事承認取得に必要な各種申請書類、報告書、論文を薬機法(旧薬事法)や各種ガイドラインを遵守しながら作成する。

⑤統計解析

・生物統計学の手法を用いて治験の結果を分析し、治験薬が効果があるのか、既存の市販薬よりも効果があるのかを、統計学的に証明する。

⑥安全性情報(ファーマコビジランス)

安全性情報報告手順書の作成(治験および市販後)
安全性情報当局報告及び施設報告のマネジメント
個別副作用症例の医学的評価(治験および市販後)

    「臨床試験の企画支援業務」から「モニタリング業務」「データマネジメント業務」「安全性情報(PV)」まで多岐にわたるCROの役割。その仕事内容は“臨床開発に関するほぼすべて”と言えるほど多岐にわたります。

     

CRO業界の転職

CROは人材の売り手市場。特にCRAは引く手あまたの状態が続いています。
他の業界と比較して動きの少ないCROですが、最近では30代になり一定のキャリアを積んだ方を中心にキャリアアップや給与アップを目指して転職をする方が増えてきています。同業間でのキャリアアップを目指した転職から、異業種からの挑戦まで…ここではさまざまなケースのCROの転職について紹介します。

1)CRO→CROの転職

CROといっても外資系から国内企業までその個性はさまざま。CROで一定のキャリアを積んだ経験者がより良い待遇・労働環境を求めて転職するのが一般的です。

2)製薬会社→CROの転職
製薬会社が自社製品の臨床試験だけに携わるのに対して、CROの場合さまざまなクライアント(製薬会社)の臨床試験に携わります。製薬会社のCRAは自社の新薬開発における上流から下流まで携わるのに対して、CROにおけるCRAはモニタリングが主な業務になります。

3)未経験→CROの転職

社会の高齢化とともに注目度を増すCRO。薬剤師・看護師・臨床検査技士・MR・CRC・獣医といった薬に対する専門知識を持った人であれば、未経験でもチャレンジできます。

CRO業界のキャリアパス解説

市場が急速な拡大を続ける中で特にCRA不足は常態化しており、求職者から見た売り手市場が続いています。そのため「GCPパスポート」と一定の経験を持つCRAなら、転職はしやすい状況です。
CRAのキャリアパスとしては、「シニアCRA」、「CRAリーダー」、「プロジェクトマネージャー」と昇格していくパターンがポピュラー。また他のCRO企業への転職によってキャリアアップされるケースも多々見られます。
一方、データマネジメントは、スペシャリストとしてのキャリアアップとなることが一般的です。

Topic2.今後更なる拡大が見込めるCRO業界と人材ニーズ

平成9年の薬機法(旧薬事法)改正で制定されたCRO。翌10年の「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(新GCP)が全面的に施行され、治験時における基準の厳格化を受けて国内でもCROへの注目が高まった結果、新薬の開発においてCROは今や不可欠な存在に。また、文部科学省と厚生労働省は平成24年4月に「臨床研究・治験活性化5ヶ年計画2012」を策定しました。内容は日本発のシーズによるイノベーションを進展させ実用化につなげることなど、臨床研究と治験活性化をより積極的に推進するものとなっています。

このような状況に加え、社会の急速な高齢化に比例して新薬開発のニーズは高まっているためCRO業界は人材不足が続いています。このような流れから、今後のますますCROの人材ニーズは高まっていくでしょう。

    欧米では新薬を開発する業務のおよそ5割をCROに委託している一方で、日本での委託率はまだ約2~3割。そのため今後ますますCROへの委託が加速することが予想されます。

     
     

Topic3.国内企業から外資系まで ~注目CRO企業~

現在、日本国内には大小約30社のCROがあります。シミック、イーピーエスに代表される国内CRO、クインタイルズ、パレクセルに代表されるグローバルCROが存在しますが、「国際共同治験」が主流になっていく今後は、業界内での合併・統合が活発に行われることが予想されます。
グローバル化は必然的な流れであり、現在はさほど英語力が求められないCRO業界においても近い将来は高い英語力が求められるようになる見通しです。

注目のCRO企業をピックアップ

クインタイルズ・トランスナショナルジャパン株式会社

従業員数は全世界で2万5000人以上の世界有数の外資系CROの日本法人。世界中にネットワークを持ち、受託する試験の多くはグローバル試験となっている。

  • 売上:非公開
  • 国内従業員数:4,022人
  • 海外従業員数:50,000人

シミック株式会社

日本で初めてCROビジネスをスタートしたパイオニア企業。MO・CSO・ヘルスケア・IPD事業へと事業領域を拡大し、医療・医薬にまつわるさまざまな分野を支援する。

  • 売上:連結620億円
  • 国内従業員数:6,150人(グループ計)
  • 海外従業員数:

イーピーエス株式会社

データマネジメント、統計解析をはじめとして、モニタリング等の開発業務全般、さらには製造販売後調査支援に至るまで、全業務を受託できるフルサービス体制を構築している国内トップCROの1社。

  • 売上:連結527億円
  • 国内従業員数:4,881人(グループ計)
  • 海外従業員数:

パレクセル・インターナショナル株式会社

約16,000人超の社員が全世界50カ国以上でサービスを提供するグローバル企業。世界の医薬品の売上トップ50のうち、実に45の医薬品の開発を手がける。

  • 売上:非公開
  • 国内従業員数:1,200人
  • 海外従業員数:16,000人

株式会社メディサイエンスプランニング

エムスリーグループのCROであり近年成長著しい企業。医療向けITサービスの活用による国内治験プロセスの効率化を実現し、独自の高付加価値サービスを提供。

  • 売上:連結646億円
  • 国内従業員数:1,085人
  • 海外従業員数:

イヴェンティヴ・ヘルス・ジャパン合同会社

世界90ヵ国以上に展開、14000人以上を抱えるグローバル企業でありINCリサーチとの合併により急成長しています。

  • 売上:連結620億円
  • 国内従業員数:780人
  • 海外従業員数:14,000人

エイチツーヘルスケア株式会社

伊藤忠グループ傘下のCRO。クライアントと目的を共有して、最速でゴールに到達できるCRO」をビジョンに掲げ、あらゆる手段で試験の効率化・迅速化を図る。

  • 売上:113億円
  • 国内従業員数:1,315人
  • 海外従業員数:

株式会社新日本科学PPD

グローバルCROであるPPDと新日本科学の臨床開発部門が合併して誕生した合弁会社。PPDは米国を本社とし、全世界46カ国に拠点を持つグローバルリーディングカンパニーです。

  • 売上:非公開
  • 国内従業員数:411人
  • 海外従業員数:

従業員数で比べると、グループ全体ではシミック、単独ではクインタイルズが首位。どちらも1000人に迫る数のCRAが在籍している大規模事業者で、この後に続くイービーエース、エムスリーグループ、パレクセル、エイチツーヘルスケアとともに「6大CRO」を形成し業界をリードしています。

CRO業界での転職をお考えの方ぜひお気軽にご相談ください。

川野 純一Junichi Kawano

製薬企業出身でその後、医療専門の人材エージェントを責任統括。自らも17年にわたりCPO(コントラクトファーマシューティカルオーガニゼーション)に勤めた経験があり、各製薬企業・CRO・CSOの採用傾向を理解しているのが強みです。また、これまで出会った転職希望者から得た各企業で働くメリット・デメリットといった他では得がたい情報も有しており、年収や待遇面に留まらない微に入り細をうがつキャリアアドバイスを提供します。

1981年立命館大学理工学部卒業後 バイエル薬品(株)にてMR・営業所長を経験 2000年11月よりクインタイルズ・トランスナショナルジャパン(株) インヴェンティヴ・ヘルス・ジャパン(株)でオペレーションディレクターオペレーションバイスプレジデント、事業開発ディレクターを経験した。2013年よりインヴェンティヴ・ヘルスの子会社で医療業界専門の人材紹介会社インプルーブドアウトカム(株)の代表取締役社長就任、2017年8月よりジーニアス株式会社に参画した。

CROの転職に関するお問い合わせ

03-3221-3348

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川野純一

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川野純一

1981年立命館大学理工学部卒業後 バイエル薬品(株)にてMR・営業所長を経験 2000年11月よりクインタイルズ・トランスナショナルジャパン(株) インヴェンティヴ・ヘルス・ジャパン(株)でオペレーションディレクターオペレーションバイスプレジデント、事業開発ディレクターを経験した。 2013年よりインヴェンティヴ・ヘルスの子会社で医療業界専門の人材紹介会社インプルーブドアウトカム(株)の代表取締役社長就任、2017年8月よりジーニアス株式会社に参画した。 今まで2000名以上の面接経験を生かして企業様と候補者とがWin-Winとなることをモットーとしております。

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