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従業員を業種越えシェア、連携し雇用下支え

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新型コロナウイルスの感染拡大に伴う雇用不安を受け、ネット小売りなど人手不足に悩む企業が休業を強いられる他業種から期間限定で人を受け入れる「従業員シェア」が世界で広がりを見せている。

政府の失業対策に限界もあるなか、民間が業種をまたいだ異例の連携で雇用を下支えする。コロナ危機は各国で失業者増を招いているが、新たな仕組みによる雇用の流動化が進めば経済が受ける影響を最小限に抑えられる可能性がある。
(日本経済新聞 5月4日)

今年の3月末に成立した改正高年齢者雇用安定法では、70歳までの就業確保の方法として、高齢従業員を個人事業主として契約して業務委託するという選択肢が用意されている。

個人事業主が複数の企業と契約を結ぶなら、「従業員シェア」と同様の効果を持つ。健康状態や能力などに個人差の大きい高齢者に対して1社で仕事を提供することが難しい場合には、こうした選択をするのも合理的だ。

同様に、新型コロナウイルスによる雇用の需給バランスの急激な変化を吸収するには、高齢者だけでなく、あらゆる世代に従業員シェアを選択肢として提供することが有効だ。

新型コロナウイルスの影響が一時的ならば、感染が終息した後は、新たな職場の仕事はなくなり、元の職場の仕事が復活する。そうであれば、退職して再就職という手順を踏むよりも、元の企業に在籍したまま、新たな仕事を兼任する方が簡単だ。

新型コロナウイルスの感染拡大期に、このような従業員シェアが普及すれば、感染が終息した後も、従業員シェアは、普通の働き方のひとつとして、ニューノーマルの一翼を担うことになるだろう。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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