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政府、東大などと協力してアジアのIT人材呼び込み

政府は東大や電機大手などと組み、アジアの理系大学生をIT(情報技術)人材として日本企業で採用する仕組みを産官学でつくる。日本企業への就職を念頭に日本の大学に留学生として招き、一定期間学んだ後に企業が雇う。政府は2020年までにIT関連の外国人の専門技術者を現在の約3万人から6万人に倍増する計画を掲げており、目標達成を後押しする。
経済産業省と文部科学省、東大などが月内に具体策を話し合う協議会を立ち上げ、協力企業を募る。インド工科大学(IIT)とも連携する。関係者によると、日立製作所や江崎グリコなどが関心を示している。
東大は理系の人材で定評のあるIITと提携し、日本での就職を前提に留学生を受け入れる。学部生は1年、大学院生は2年学んだ後、メーカーやIT関連など日本企業を紹介し、就職してもらう仕組みを検討している。初年度は十数人から数十人を受け入れる見通しだ。
東大は12年にインド南部のバンガロールにインド事務所を開設した。同事務所はIITの人材を「コンピューター・サイエンス分野で世界有数のレベルにあり、日本の次世代の研究開発にも有用だ」と高く評価する。
在学中の学費は自己負担になるとみられ、企業には外国人向けの奨学金を紹介するなど支援する動きもある。就職後はインド企業よりも賃金などを手厚くし、日本に定住しやすい環境を整える。
インドはIT教育に力を入れており、米国でITに強い同国人らを企業幹部に登用する動きが広がるなど世界的な評価も高い。日本企業も関心を寄せているが、インドの学生は英語で働くことができる米国のIT企業に就職するケースが多い。
(日本経済新聞 9月4日)

IT人材に限らず、海外の優秀な人材の採用に意欲を示している日本企業は多い。日本国内と海外との垣根が低くなり、市場のグローバル化が加速している中、海外拠点だけでなく、日本に拠点を置く本社機構でもグローバルな視点で事業企画や商品開発をする必要が高まっている。そのためには、日本の本社でも外国人を正社員として採用し、世界で勝てる商品や事業を生み出さなければならない。
なかでも、ITは国境の壁が低い市場だ。欧米の著名なソフトやサービスがグローバル市場を席巻している。世界中の優秀な才能を集めなければ、この競争に勝つことはできない。
米国のシリコンバレーでは、米国のITを支えているのはICだと言われてきた。Iはインド、Cはチャイナだ。アジアの理系人材が、自国よりも活躍できる場を提供していることが米国の強みでもある。
今回の政府や東大の取り組みが、日本におけるこのような環境の醸成に貢献することを期待する。
ただし、世界の優秀なIT技術者を集めるには、日本での処遇も重要なポイントだ。一般に、米国に比べて日本のIT技術者の報酬は低い。今では、インドのIT企業でも、グローバルに展開する大企業は、高い給与を払っている。世界の人材獲得競争に勝つには、日本人も含めたIT技術者の評価方法や報酬体系の見直しも必要だ。

谷萩 祐之

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谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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