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長時間労働の是正に着手―政府、今秋の経済対策で

安倍晋三首相が11日の記者会見で力説したのが、長時間労働の是正を柱とする「働き方」改革だった。
日本は2割ほどの労働者が週49時間以上働いており、10%強の欧州より高い。過重な長時間労働を緩和して仕事と育児・介護の両立を後押しできれば女性の労働参加を促し、介護による退職も防止できると見込む。
政府は長時間残業の是正に積極的な企業へ支援するほか、若者の長時間労働の抑制に向けた法改正にも取り組む方針だ。
(日本経済新聞 7月12日)

今年6月に開かれた病院勤務医の団体のシンポジウムで、ある医師はこんな報告を行なった。
「2012年に公表された病院勤務医調査をもとに、直近の勤務医の週当たり労働時間を53・2時間としているが、この労働時間に当てはまる医師はどれだけいるだろうか?一方、国立保健医療科学院の2006年の報告では、30代までの男性勤務医の1週間当たりの平均勤務時間は80時間以上。40代半ばまで週70時間を超えた。2012年の調査でも4割の医師が週60時間以上働いていた」
 この実態はブラック企業の比ではない。報告を行なった医師の場合、今年5月の勤務時間は261時間だった。週平均60・9時間である。過労死レベルの勤務時間だ。過去に1カ月の勤務時間が200時間を下回ったことはないという。
 長時間労働を真っ先に是正すべきは病院かもしれない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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