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1年で保育士30人が退職 私立保育園に市、県が立ち入り 福岡県太宰府市

福岡県太宰府市は9日、市内の私立認可保育園を県とともに立ち入り調査し、時間外命令簿の不備などが確認されたとして運営を改善するよう口頭で指導したことを明らかにした。同園では昨年度、計30人の保育士が退職しており、市は「異常な事態。適切な運営に改善されたか、確認を継続していく」としている。

市によると、昨年12月に同園の保育士から「休みが取れない」「パワハラがある」などの訴えが市にあった。市は県と今年3月、園に立ち入り調査を実施。時間外命令簿の記入がずさんだったほか、研修旅費の未払いや運営規程の未整備などが確認された。

同園では昨年度、正規13人、臨時12人、派遣5人の保育士計30人が退職している。同円理事長兼園長の女性は市の調査に「(保育士らに)声を荒らげることはあった」と認めているという。退職時期はずれており、乳幼児1人あたりの保育士数を定めた基準を下回った時期はなく、現在は21人が勤務している。
(西日本新聞朝 6月10日)

この記事から察すると相当に荒んだ職場だったようだ。この保育園はブラック体質が知れわたってしまい、保育士の確保はどうなるのだろうか。

保育士の処遇改善は参院選の争点のひとつになりそうだが、処遇改善措置が実行されても、それを保育士の給与に反映させるかどうかは経営者次第である。

昨年4月の介護報酬改定で新設された月1万2000円の介護人材処遇改善加算も、事業者に支給され、職員に直接支給される仕組みでないことから、借入金の返済に充当する事業者もあるという。保育士の処遇改善はほぼ確実に実行されるだろうが、公費が本人に届く仕組みがないと、介護人材処遇改善加算の二の舞になりかねない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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