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ヘッドハンティング会社から電話があったときに確認すべきこと

世の中どこも働き手不足である。

完全失業率は3.7%、有効求人倍率が1.10倍、選り好みさえしなければ仕事が見つかるという完全雇用が実質的に成り立ちうる雇用情勢となっている。

総務省が29日発表した6月の完全失業率(季節調整値)は3.7%で、5月(3.5%)から悪化した。失業率の上昇は昨年8月以来、10カ月ぶり。ただ、今回の失業率上昇は自発的離職や新規求職の増加など、新たに労働市場に参入する動きに伴うもので、総務省では「雇用情勢は引き続き持ち直しの動き」と判断している。完全失業率は、ロイターの事前予測調査で3.5%が予想されていた。
一方、厚生労働省が発表した同月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント上昇の1.10倍。1992年6月以来、22年ぶりの高水準となった。

このような求人過剰状態の労働市場においては、求人広告を多くの会社が活用することになる。結果的に余程ブランドネームがあるか、刺さる求人広告コンテンツでもない限り母集団形成も難しく、求人広告の投資対効果は低くなることが現状だ。
また、一般の登録型人材紹介を依頼した場合でも苦戦は必至である。こちらはこちらで数多くの会社が求人票を出し、紹介会社も決まりやすい案件(ネームバリューがあり求職者に人気のある会社や報酬水準の高い案件)から取り組むために、よくある普通の案件は後回しになる。また折角良い方が見つかったととしても他社選考も当然並行しているので、オファー段階で競り負けることが増えてくる。そして結果的に人材が採れない状況に陥る。

上記のような状態に陥ってしまった会社として撮りうる手段の1つがヘッドハンティング、スカウトである。
ヘッドハンティング、スカウトのメリットとしては、①スカウト対象者は転職市場に出ていない方が多く(転職サイトの登録者ではない)、他社と競るという状態が生まれにくいこと、②予め対象となる企業や部門を絞ってアプローチを行うために、ある程度スキル・経験値共に信頼性の高いキャンディデイトとの面接が可能になることだ。特に、転職市場に出ていない方というのは競り負ける会社(ネームバリューがない、報酬水準が普通、魅力も普通)にとっては活用するメリットが大きい。
当社はエグゼクティブサーチ、ヘッドハンティング、スカウトといったサービスを提供しているのだが、「求人広告、人材紹介で採用できない、競り負ける」ことから問い合わせをいただくケースが多い。

さて、今日はそんなヘッドハンティング会社からの突然の電話、手紙、メールなどが来た場合の注意点、確認すべきことをお話ししたい。業界の裏話的なものも含まれているので、ヘッドハンターから連絡があった方は是非読んで頂けると参考になると思う。

ヘッドハンティング会社から電話があった・・・

さて、このファーストコンタクトの時に確認すべきことは、3点ある。

① 連絡先は、会社(電話ではれば会社電話、手紙であれば会社の住所)なのか、プライベート(個人携帯や自宅電話)なのか?

我々ヘッドハンティング会社が、スカウトアプローチをする場合には、指名スカウト形式とロングリスト形式がある。
指名スカウトとはクライアント企業が指名した人材をスカウトすることであり、対象者の名刺や個人の連絡先を頂きアプローチするものである。
ロングリスト形式というのはクライアントが特に指名すべきキャンディデイトはおらず、対象企業や部署のみを確定し、あとはランダムにヘッドハンティング会社がリストアップした人材にアプローチし、インタビューをした後にスペックに合致した人材をクライアントに推薦するものである。
指名スカウト形式は文字通り「指名」であるために、「あなたを採用したい」というラブコールであり、ロングリスト形式は「あなたのようなキャリア・スキルの方を採用したい」(あなただけではなく、他にもアプローチはしている)という差がある。
指名スカウト形式は元々求人企業に知人がおり、直接声をかけることは憚られる場合に、ヘッドハンティング会社を挟むような形式となるので、プライベート(個人携帯や自宅電話)の連絡先に直接アプローチがあるケースが多い。そのため、内容に興味関心を持ち話を勧めた場合には、選考というより、口説かれるようなステップであることが多い。
一方でロングリスト形式の場合は、多くはヘッドハンターのインタビューの中で1次的なスクリーニングが行われ、案件にマッチしているか判断が行われ、それをパスすると求人企業とのインタビューとなる。インタビューはスカウト的なアプローチのために、初回の引き合わせは面接ではなくカジュアル面談になることが多い。但し、そのカジュアル面談(ゼロ次面接)から先の選考は一般の面接とそれ程大差はない。
個人的には、指名スカウト形式であれば1度ヘッドハンターとお会いすることをお勧めする。人生の中で「あなたを採用したい」(あなたではないとダメ)という話はそうそうないので、情報だけでも得ておくことは損ではない。
一方でロングリスト形式であれば、以下の②、③の点を確認した後に、納得がいった場合にヘッドハンティング会社と会うべきだろうと思う。

② 具体的な求人企業やポジションが明確か(何故自分に声をかけたのか納得できるかどうか?)?

さて、ヘッドハンティング会社からの電話やメール・手紙が来た場合には、電話での説明やメール・手紙の文面をよく確認して欲しい。
適当な例となるか分からないが、製薬メーカーで人事部門長を探しているというテーマだとこんな内容が多いと思う。
「現在弊社はある製薬メーカーから依頼を受け、人事部門の幹部候補を探しています。」といった風だ。この文面だと、求人企業は武田薬品?第一三共?ファイザー?GSK?どこか分からない。
もう少し親切な内容だと、「現在、弊社では国内最大手の製薬メーカーより依頼を受け、グローバル人事部長を探しております。同社は日本発の開発型製薬メーカーのパイオニア、世界のトップブランドとして幅広い認知がある企業です。」となる。
ここまで内容が充実していると、業界長い方であれば文面を見ればどこの会社か特定できるし、少しググルと対象企業に行きつくことになる。ちなみにこの文面だと武田薬品に特定できる。
また、ポジションについても同様で「人事部門の幹部」はかなりあやふやであり、大きな会社だと部署が細分化されており、人事企画?教育研修?グローバル人事?、それとも全体の統括なのか分からない。「グローバル人事部長」と特定されていると明確に空きポジションが存在することが確認できる。
具体的な求人企業やポジションが、一見では分からない場合は、ヘッドハンティング会社に「社名は明かせないかもしれないが、求人会社の特徴や業界内の位置づけについて情報が欲しいこと」、「ポジションは明確になっているのか?それとも対象者の希望やキャリアによって幅がある案件なのか?」を確認して頂きたい。
結果的に、そもそも案件があるのかどうか?(単にアポ欲しいだけではない)、ヘッドハンティング会社やヘッドハンターがクライアント企業とどの程度密接に接点を持ち、情報を持っているのかの確認にもなる。またこの短いコミュニケーションでヘッドハンターの能力も確認できる。
余り知られていないが、ヘッドハンティング会社と名乗る業者の中には、機械的に作成した名簿(これはバイトや新人がググって作ったり、名簿業者から買ったりする)に新人やコールセンターからじゃんじゃん電話をかけてアポをとり、あとは通常の登録型の人材紹介と大差ないサービスを提供する会社もある。
これらの会社は転職サイトや自社媒体での登録者の集客が上手くいかないので、オープンソースから潜在的な転職希望者をかき集めることが目的である。転職を強く希望していないようであれば、無視して良いと思う。

③ ヘッドハンティング会社は、自分の情報を知っているのか?、それとも余り知らないのか?

さて、最後に確認頂きたいのはヘッドハンティング会社が「自分の情報をどれだけ把握しているのか?」という点だ。
是非「私のことどれだけ知っていますか?」と質問して頂きたい。

指名スカウト形式であれば、当然の如くクライアント企業からあなたの情報はヘッドハンティング会社に伝わっているので、相当に色々なことを知っている。一方でロングリスト形式の場合は、現職の役職しか知らないでアプローチしているケースもあり、当然このような場合はほとんど情報は把握しないままにアプローチしていることになる。
但し、一定のメソッドや体系的なアプローチ手法、ノウハウのあるヘッドハンティング会社であれば、あなたの情報を調べる手段を複数持っている。
例えば調査会社や興信所(要は探偵)に照会して職歴などを確認したりするケースもあるし、カンパニーフェロー(特定業界別の情報提供者)からのリファレンス確認なども行っている。カンパニーフェローというのは、ヘッドハンティング会社独自の仕組みであり、業界内で人脈の広い方にお願いするケースが多いのだが、ご自身の知人の情報提供をいただき(このヘッドハンティング会社にとっては潜在的なキャンディデイトになる)、その都度何らかの謝礼を差し上げる仕組みである。
ヘッドハンターから「優秀な友達紹介してくれませんか?」とお願いされるケースも多いと思うが、それはカンパニーフェローとして活用されている可能性が高いと認識した方が良い。(別に悪いことではない)
但し、最近は自社のHPに社員紹介と称して、じゃんじゃん個人情報を開示している会社も多く、自ら情報を公開している場合は、万人があなたのことを調べられる=よく知っているので、わざわざ調査会社やカンパニーフェローなどを使わない。
このように、何らかの手段で自分の情報を得た上で、具体的で精度の高い案件を打診しているヘッドハンティング会社やヘッドハンターは信頼しても良いと思う。
しかしながら、とりあえず名簿会社から提供されたリストに順番に電話している業者(自称ヘッドハンティング会社の皆さん)は、あなたのことは全く把握せずに、機械的に電話やメールをしているだけである。手の込んだスパムと大差ないと捉えても差し支えない。

このようにヘッドハンティング会社からスカウトされた際には、3つのポイントをチェックして、信頼できる情報なのかを把握してサービスを活用頂きたいと思う。


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三上 俊輔

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三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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