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外食産業の人材不足とバイト求人媒体好調

アルバイトが足りない

求人広告市場が絶好調だ。対前年を大幅に上回っている(全国求人情報協会が統計データ)。全職種、全地域で求人広告が増加しており、日本全国で人手不足が深刻化しつつある。

5月の求人広告は、50カ月連続対前年比プラスとなる25.7%
5月の求人メディア全体の広告掲載件数は828,010件で前年同月比+25.7%と なりました。三カ月移動平均件数(4月)は、+31.2%となっています。各メディアの件数は、有料求人情報誌49,616件(-16.5%)、フリー ペーパー295,173件(+18.4%)、折込求人紙82,359件(-8.2%)、求人サイト400,862件(+53.9%)となりました。

特に外食・流通業ではアルバイトが足りない。
最近よく報道されているが、外食産業が人材不足を理由に店舗運営が困難となっている。私のオフィス近くの麹町のすき家も例外なく「パワーアップ改装中」となっており、再開の目途が立っているようには見えない。
近頃乗っ取りが加速しているLINEアカウントからは牛丼クーポンが毎日のように送られてくるが使う場所が空いていないのでどうしようもない。

すき家の約250店が人手不足で営業休止
ゼンショーホールディングス(HD)は5月14日、傘下の牛丼チェーン店「すき家」の28店舗がアルバイト店員の不足で現在、営業休止していると明らかにし た。改装中の店舗も含めると計184店で営業を再開できていない。すき家は人手不足が原因で2月以降、約250店が一時休業や短縮営業に追い込まれた。6月からはすき家を全国7地域に分社化し、地域の実情に合わせて人材 を採用するほか、賃金体系なども工夫して働きやすい職場作りを進めるなどの対策をとる計画だ。

シニア活用を加速させるドン・キホーテ

一方で流通業は店舗スタッフの確保のために新たな取組を開始している。
ドン・キホーテはシニア労働力を活用することに活路を見出している。日本では、国民の4人に1人が65歳以上の高齢者であり、就業者の30%が高齢者である。高齢者層の労働力をどのように自社のリソースとして取り込んでいくのかは、本来であればもっともっと前から対策すべきことではあったが、流通大手も本腰を入れつつある。

ドン・キホーテが「60歳以上」のパート2000人を急募
ディスカウントストア最大手のドン・キホーテは30日、主に60歳以上を対象にパート従業員を7月から計2000人募ると発表した。勤務時間は早朝の2~3時間程度で、商品陳列や清掃などの開店前作業を担当してもらい、午前中の販売強化や既存従業員の負担軽減を図る。
全281店舗のうち午前中の来店客が多いロードサイド店など125店舗で採用。同社は「シニア層は短時間勤務のニーズが高い。効率的な店舗運営に向け活躍してほしい」としている。

コンビニ大手のローソンは、自社とFCオーナーのJVで派遣会社を設立し、恒常的に人材プール内製化して不足店舗に配置することで、人材獲得を仕組み化しようとしている。ファミリーマートは自社に人材集客や派遣ノウハウがないので派遣会社にファミマデスクを作り人材確保に向けたアクションを取っている。

本部が店員確保に乗り出すコンビニ業界
大手コンビニエンスストアがパートやアルバイトを確保するための新たな取り組みを始める。ローソンは 新会社を設立して加盟店に人材を紹介。ファミリーマートは人材派遣会社に加盟店専用の受付窓口を設ける。過去最高の出店を続けている影響でコンビニでも店員を集めにくくなっており、機動的に人手を採用できる 仕組みを取り入れる。

さて、人材業界においても、この外食人手不足は少なくない影響が見受けられる。
バイト求人市場は絶好調、リーマンショック後の落ち込みをリカバリー出来ていなかったディップ(バイトル運営)は上方修正を行っている(売上15,500百万→16,180百万、営業利益2,250百万→2,529百万)

インテリジェンスは運営するバイト情報媒体「an」で毎月平均時給を発表しているのだが、フード系職種の時給は29カ月連続で上昇し、関東平均で1000円を超えの1007円、物販(959円)を上回っていることが確認できる。

カタコト日本語でもOKな職種もある

また、新しいサービスも続々ローンチされている。グローバルパワーはカタコトバイトという、日本語カタコトでも就業可能なアルバイト紹介サイトを立ち上げている。「日本語が未熟でもOKな仕事」をコンセプトとしている。確かに日本語能力が低くても対応可能な企業や職能も世の中には存在するが、これまでその労働市場はほとんど活用されてこなかった。就業の難しかった日本語能力の低い外国人労働者も活用しなければ人手不足が解消できない企業が増えているのである。ちなみにググルと大変面白い検索結果が出て来て、小学生が作ったのかと思ったが、コンセプトを考えると納得である。

今後バイト求人媒体各社の四半期業績発表があるが、ここでもどのくらいインパクトがあったのかは注目したい。

三上 俊輔

著者情報:
三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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