Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

「中途採用のプロ」争奪戦

人手不足が慢性化するなか、優秀な転職人材を採る採用担当者も足りないとして人事部を強化する企業が増えている。中途採用専任者の求人は2年で2.7倍に増加。人事部にデータサイエンティストを置いてより自社に合った人材を採用しようとするなど、中途採用を前提とした仕組みを整える企業が増えてきた。
転職サイト運営のビズリーチでは、中途採用担当者の求人が2017年に2年前の2.7倍に増えた。「中途採用のスキルを持つのは外資の社員やヘッドハンターなどに限られるため、争奪戦になっている」(同社)。エン・ジャパンによれば求人の際の年収はこの2年ほどで3割高くなった。
エンジニア採用責任者を募集中のヤフーは「人事が受け身で面接しているだけでは限界。人材を自ら探せる人が必要」と話す。
(日本経済新聞 5月29日)

ひと昔前まで採用担当者に必要なスキルは“目利き”だったが、目利きには当たりはずれが付きものだ。「人を見る目には自信がある」と自負する人物に限って、ひんぱんに外す場面をよく見てきたが、それだけ人の本質を見抜くのは難しい。あえていえば女性のほうが適格に見抜く。直感がすぐれているのだろう。

この目利き問題、HRテックの普及によって一変した。AIで適性が解明されれば、面接は確認作業ですむ。人材の発掘もAIで賄える。採用担当者はデータサイエンティストへと向かっていく。
この記事で報じられたように、採用担当者をめぐる採用活動が活況を呈すると、自分が採用対象になったという採用担当者も増えるはずだ。面接をすませた後に面接を受けるという回転扉のような場面も出てくるのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。