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人材業界向けERPソフト会社について財務比較してみた

暫く前に社内の業務フローを整えようと思いまして、業務アプリケーション、平たく言えばパッケージのDBを導入しました。
人材業界も3兆円規模ですのでまずまずの規模、しかもビジネスモデルはシンプル極まりないので、業界向けのパッケージも一定の成熟度を見せておりびっくりしました。

ちなみに、私は以前までは極めてアナログなヘッドハンティング会社に在籍していました。
同社では、自分の記憶とわずかなカレンダー機能でクライアントとキャンディデイトの接点を記録、その他は紙のレジュメ見るしかないという形式でして、新卒で入社した私は如何に毎年お会いする1000人ばかりの方々を脳みそに突っ込むか?に苦戦していたわけです。

当社ではこのERP導入に先立ち3社について簡単な調査をしました。ポーターズ、ブレインラボ、マッチングッドの3社です。
そこで本日はこの3社について、サービス内容ではなく財務状況について簡単に比較してみようと思います。
数字はTSRと帝国データから引っ張っています。

ポーターズ
まず最大手で老舗のポーターズ、人材紹介会社向けツール「Pro-Agent」をASPで展開。
最近はカスタマイズ性が売りの「HRビジネスクライド」もリリースされています。
売上は直近は3億円を行ったり来たり、1ユーザーの月額課金を1万円と仮定すると2500名程度という計算です。
この商売はリーマンショックなどで業界全体が傷んで廃業、事業統合、リストラとかしない限りはある程度手堅く継続できると思います。
利益は赤字⇒2千万程度、サイボウズ(売上40億、利益4億)と比べても幾分低く、まだユーザーからお金取れない(値上げできない)状態なのかな?と推測されます。

ブレイン・ラボ
次に2番手のブレイン・ラボ、ASP型「CareerPlusSolid」の本格稼動で追い風でしょうか?
利益は上り調子、だいたいユーザーは1500名程度かな、カスタマイズのしやすさを売りにされているようです。
パソナ、インテリ、テンプ、リクルートエージェントが同社のソフトを使用しているようです。
リクナビエージェントネットワーク(RAN)使っている方は連携サクサクで便利になりましたね。
大手が使い込むと成熟度も高まるわけですが、一方でリテイナーとか採用代行(月額コンサル)やっている会社ですと、業務フローが標準と外れるので管理の仕方を考えないといけないデメリットもありますね。

マッチングッド
そして最後に新興のマッチングッド、商品は社名と同じ「MatchinGood」、Aヒューマンやキャリアファームが活用事例に紹介されています。
5名程度の少人数組織のようですが、この3社の中では最も収益性が高く(この数字本当であれば)、大手アカウントが取れれば化けそうです。
大手アカウントは既にポーターズ、ブレイン・ラボが食い込んでいるので、まずはこの2社からどのように切り替えさせるのか?が基本戦略になりそうです。

総評ですが、直近3年のソシャゲ・ネット系プチ人材バブルと、アベノミクス後の若年層求人の増加に伴い、若者メインのくるくる系紹介会社は増員傾向、事務派遣・製造派遣も一時的復活(年末に中国クラッシュして元通りでしょうが)しているので、益々ERPを活用するユーザーは増えそうな気がします。
加えて、仮に公共マーケット(職安など)が解放された場合には、マーケットは拡大し、一般SI’erの参入もありそうです。

個人的にはASPサービス会社が利益追求するならば、自社で開発したERPをフル活用して、インハウスの人材紹介事業でも運営した方が良さそうな気もしないでもない。
利益目標が2000万(人によって四半期~年間まで時間軸の捉え方は違うかもしれませんが)、まぁできない数字ではない。なんちってねー。

三上 俊輔

著者情報:
三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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