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人材業界2013年度決算まとめ、パソナは売上高は2077億円、前期比+14.4%

週末はパソナの2013年決算発表、売上高は2077億円、前期比+14.4%で着地とのこと。
これで人材関連企業の2013年度決算は概ね完了です。
そこでインターンの菊池君と人材業界決算を振り返ってみました。
なお、パソナ決算前の前回まとめはこちらを参照ください。

パソナさんについては日経新聞ではこんな感じの報道です。パソナ決算概要はこちら

パソナグループが12日に発表した2013年5月期の連結決算は、経常利益が前の期比52%増の31億円だった。景気の回復に伴い、業績好調なメーカーや証券会社からの人材派遣の受注が伸びた。好採算の請負事業も堅調で、事業拡大を狙った販管費の増加を吸収した。
売上高は14%増の2076億円。前の期まで苦戦していた人材派遣事業が6%増の1297億円と上向いた。派遣の単価は横ばいだったが、1カ月以上契約する長期稼働者数が4%増の3万7000人弱と5期ぶりにプラスに転じた。

パソナは基本的には派遣メインの会社(事務補助系中心)で、一般派遣と委受託75%、OP紹介教育10%、残りで15%という売上構成です。
派遣事業はストック型、一度受注の波が出てくると今後もある程度中長期で継続受注が期待できる商売です。そのため今後のパソナの売上水準は少なくとも明るい兆しが見えてきた模様です。

円安で国内生産を増やす自動車や電機業界からの受注が昨秋以降増加。株高による市場の活況で証券会社からの受注も20%以上伸びた。12年5月期に買収した伊藤忠商事の人材派遣子会社も通年で収益拡大に寄与した。
請負事業は38%増の370億円と大きく伸びた。総務や経理分野で民間企業からの受注が増えた。業績不振の電機メーカーなどからの再就職支援の受注も拡大した。税負担の減少により、純利益は21倍の6億1000万円だった。
14年5月期の売上高は前期比7%増の2220億円、経常利益は4%増の33億円を見込む。円安による企業収益の改善が進み、人材派遣の回復傾向が続く見通しだ。

一方で営業利益は31億円、営業利益率は1.5%とリクルートHD(11.9%)、テンプHD(4.0%)と比べて低空飛行だったようです。
これは上場している以下人材サービス会社の中でも最も低い数値の一つであり、リブセンス(49.9%)と比べると、その差は歴然、デジタルvsアナログの根本的な収益性の違いを感じます。
まぁ、リブセンスは人材サービスというよりもインターネットサービスだという異論もあり(私も半分くらいそう思っている)、人材サービス以外のプラットフォーム進出が今後の成長性の胆だと思いますので、来年か再来年にTOBされずにサーバイブしていればポートフォリオが随分変わっていると思います。

さて、2013年度上場人材サービス会社のまとめです。単位は百万円。

売上TOP3
1位 リクルート 1,049,224
2位 テンプHD 247,232
3位 パソナ 207,685

リクルートは売上・営業利益ともにガリバーとして君臨、インテリ買収したテンプHDがそこに続き、パソナまでが1000億円以上のプレイヤーと相変わらずの市場構造です。

営業利益TOP3
1位 リクルートHD 124,983
2位 テンプHD 9,848
3位 メイテック 6,354

営業利益ではメイテックさんが善戦、というか素晴らしい決算!! 製造派遣・請負メインで営業利益率9%はさすがです。同業の日本マニファクチャリングサービス(1%)、アウトソーシング(2.4%)と比べると、トリプルスコア以上の差をつけています。
フルキャストテクノロジーを吸収した、夢真HD(10.9%)とともに、昨年度対製造業領域で好調継続された模様です。

営業利益率TOP3
1位 リブセンス 49.9%
2位 JACリクルートメント 22.4%
3位 エンジャパン 20.5%

利益率はやはりWEB系の第三世代と紹介専業が高く、リブセンスがぶっちぎりです。おそらく来年度はもう少し完成されたビジネスモデルで大手さんが成功報酬型に舵を切ってくるでしょうから、広告費がかさんで、同じ商売だと利益半分以下になる可能性もあります。

また、紹介会社全体が基本的には売上伸長しているため、紹介会社向けサービスも復調または順調に成長していることが予想されます。
ちゃんと調べていないので何とも言えませんが、エンジャパン復活してきているので、おそらくアイ・キュー(人材バンクネット)、ソフトバンクヒュー マンキャピタル(イーキャリア)、日経HR(日経キャリアネット)、ビズリーチなど紹介会社向けDBサービス会社の決算も上向きだと思います。
また、ポーターズ、ブレインラボといった人材会社向けの業務アプリケーション開発会社も増収しているように感じます。

さて、2014年度はどうなるか?
個人的には各社の国際事業に注目したいです。上手くいっているのか、こけているのか、投資が化けているのか、失敗したのか、気になるところですね。

会社名 売上高 営業利益 当期純利益 営業利益率
リクルートHD 1,049,224 124,983 71,800 11.9%
テンプHD 247,232 9,848 5,888 4.0%
パソナ 207685 3176 610 1.5%
総合メディカル 86,685 4,324 2,532 5.0%
メイテック 70,330 6,354 5,993 9.0%
ワールドインテック 53,007 1,223 658 2.3%
ヒューマンHD 52,041 1,126 825 2.2%
アウトソーシング 42,090 1,000 641 2.4%
日本マニファクチャリングサービス 38,869 387 235 1.0%
フルキャスト 36,896 1,779 1,427 4.8%
UTHD 27,854 1,473 922 5.3%
WDB 24,323 2,170 1,278 8.9%
クリークアンドリバー 18,998 1,045 471 5.5%
ヒト・コミュニケーションズ 18,866 1,455 751 7.7%
ジェイコムHD 17,518 914 603 5.2%
アルプス技研 17,460 1,162 603 6.7%
トラストテック 15,459 629 354 4.1%
エンジャパン 13,563 2,783 1,545 20.5%
夢真HD 10,982 1,194 738 10.9%
SMS 10,181 1,570 1,226 15.4%
スリープロ 9,390 272 383 2.9%
ディップ 9,142 248 61 2.7%
クイック 8,708 658 473 7.6%
クロスキャット 7,768 308 184 4.0%
クリエアナブキ 6,919 42 23 0.6%
JACリクルートメント 6,115 1,370 670 22.4%
エスプール 4,941 48 30 1.0%
アルトナー 4,020 290 286 7.2%
キャリアデザインセンター 3,986 356 356 8.9%
リブセンス 2,264 1,130 597 49.9%


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三上 俊輔

著者情報:
三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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