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なぜ採用できないのか? 2013年求人数は増えたが、転職希望者(欲しいゾーン)は減った。

最近、世間では成長企業として名前が通っていて、サラリーやブランド力という点でも比較的競争力が高いお客さんから「最近採用が上手くいかない」というご相談を多く頂きます。

こういったお客様は昨年までは「媒体と成功報酬型の紹介サービスで採用は十分できている」ということで、当社が提供しているようなリテイナー型のスカウトサービスには「関心あるけれど、投資対効果悪いよね!」というコメントが多かったので、市場の変化を感じます。

そこで今日は最近上場されたり、上位市場に指定替えされたり(まぁ東証さんのスーパーウェルカムモードの影響もありますが)、世間一般で好調の会社がなぜ人材採用が難しくなってしまっているのか検討したいと思います。

求人・求職マーケットを判断するときは、求人数と転職希望者数の多少でカテゴリー分けすると市場状態が把握しやすいです。

2010年、求人数は現在と比べるとずっと少なかった、半分くらいであったように記憶しています。またリーマンショックの影響を引きずっており、市場には転職希望者は老若男女かなりの数がいらっしゃいました。
このような状況はまさに「①」に該当し、求人広告や媒体を活用するとそこそこの人材は採用できてしまうわけです。多くの成長企業にとっては最も幸せな1年だったのではないでしょうか?

2011年、労働市場は②のカテゴリーにシフトしました。リーマンショックからある程度復活した企業やネット・ソシャゲを中心としたグループがドーンと勃興しています。
これらの企業は採用市場においても競争力があり、広告・媒体で採用できなくても、一般の紹介会社経由でわんさか人材が集まったと記憶しています。
特に製造業がシーンとしておりましたので、ネット系に優秀な若者がどんどん集まる時代でした。ここで成功した若者クルクル系紹介会社も多く、人材業界においても特異な1年でした。

2012年、前年の状況が継続、しかしイケイケ企業が成長MAXを超え、成熟路線または国際事業に大きく舵を切りました。
ここではこれまでのような若者体力あります系人材よりも、「統合型・調整型」の人材が求められるようになり、はっきり言うとバブルなんですがコンサルタント(または経験者)のスーパー売り手市場が出現しました。
そのため、コンサルファームから事業会社への転身が大きな波となり、コンサルファームで人手不足が顕著になり、従来人材業界では金融屋さんがチョコチョコっと携わっていたコンサルファーム向けの商売が大人気になりました。
但し、この段階でも企業競争力があり、ある程度魅力的な案件で、報酬水準もそれなりであれば一般の紹介会社経由で採用が出来ていました。

2013年、さて今年です。世界中で奇跡的に日本だけ景気が良いです。製造業も半導体・総合電機以外は軒並み復活し、労働市場には求人が溢れ、潜在的に転職を検討していた労働者も現職が忙しくてそれどころではない、という環境に変わり、欲しい人材が採れない状況が生まれています。
こうなるとそもそも転職サイトに優秀な人材が登録しない、または登録していても見る暇が無くなりますので、一般の人材紹介会社から昨年同様に人材を推薦してもらうことがかなり厳しくなってきています。
しかしながら景気はいい、チャレンジするなら今しかないという状況は同じで、フィーは高くても人材を確保して事業を前に進めるが先決、この際リテイナー型のヘッドハンティングサービスも投資対効果見合うではないか?という「④」に突入したように感じます。

ということで、今年の下半期の予想ですが、、、
1.きちんとしたリテイナー型のヘッドハンティングプロセス(ノウハウ)を持っている会社は受注が伸びる。
但しクライアントも勉強しているのでリーマン前のような乱発発注は期待できない、投資対効果がきちんと検証される。
2.リクルート担当者求人が増える。特にGoogleやAmazonなんかの内製化スカウト部隊(僕の前職の部下も何人か引っこ抜かれました)のような大掛かりではないものの、スペシャリストとしてリクルーターを採用する企業が増える。紹介会社飽きた方で事業会社に転身を希望されている方はチャンスかもしれません。但しタレントアクイジションできないと?どうしているの?となります。

何だか久しぶりのブログアップになりました。結婚すると忙しくなりますねww

三上 俊輔

著者情報:
三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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