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トラック運転手「1日20時間労働」で鬱病 労基署が労災認定

明豊物流(東京都町田市)に勤めていたトラック運転手の女性(41)が、長時間労働で鬱病を発症し、八王子労働基準監督署町田支署が労災認定していたことが27日、分かった。認定は19日付。

女性と代理人の弁護士らが27日、厚生労働省内で記者会見した。女性は「せめて奴隷ではなく人間として働きたいと思った。人間らしく働ける会社になるべきだ」と話した。

女性は平成21年3月に入社し、4トントラックでの配送を担当。荷量が多く渋滞も多いコースを走り、1日20時間働くこともあった。休憩時間も取れず、食事も運転しながら食べることがほとんどだったという。

26年末ごろに運転中にめまいや動(どう)悸(き)が激しくなり、鬱病を発症した。休業中の27年7月に解雇され、今年4月に労災申請していた。

明豊物流は「コメントはない」としている。
(産経新聞 2016年12月27日)

1日20時間労働とは信じがたいが、事実だったのだろう。受注ビジネスの場合、社員に無理を強いてでも受注しないと、他社に注文を取られてしまうとか、次に注文が来るかどうかわからなくなるとか、ともかく経営者の不安心理が先行して、社員の健康よりも受注の獲得が優先されるのがおおかただ。

労働基準法の遵守は(きれいごと)として切って捨てられ、遵守していれは業務が成り立たないので、現実に法律を合わせてほしい――そう考える経営者は多いだろうが、では社員の健康管理にどう取り組むのか。優先すべきは業績か、健康か。健康よりも業績を優先するなら、無能のそしりを免れえない。

これまで取材した経営者から「健康管理は自己管理だから体調を崩すのは自己管理力の欠如である」という妄言をずいぶん聞いてきた。それも、いまや禁句になった。

 

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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