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最低賃金違反、7月以降に66件 ハローワーク求人サイト

国が運営する就職支援サイト「ハローワークインターネットサービス」で7月以降、時給が最低賃金を下回る求人情報が少なくとも66件掲載されていたことが、厚生労働省への取材で分かった。ハローワークの職員が求人を受理した際、時給の確認が不十分だったためで、厚労省は「チェック体制が甘かった。雇用された人はいなかったが、あってはならないミスだ」としている。

毎日新聞は全国のハローワークが7~8月に受理したパート職の全求人情報をサイトを通じて閲覧。最低賃金に満たないものが複数見つかり、厚労省に事実確認を求めた。厚労省が調べた結果、最低賃金を下回る求人を7~8月に66件受理し、サイトに掲載していたことが判明した。

内訳は、工事現場の交通誘導やマンション管理、介護施設の給食調理補助などで、就業場所は東京都や神奈川県、大阪府が多かった。ハローワークの求人情報端末でも公開され、求職者19人に紹介状を渡していた。実際に就業した人はいなかったという。
(毎日新聞 12月22日)

 最低賃金を下回る求人を出した企業には、指摘すれば改善する例もあるだろうが、とりあえず求人票を訂正しておいて、採用後にあれこれと理由をつけ、最低賃金を下回る賃金を平然と支払うところも少なくないだろう。

「労働基準法を守っていたら中小企業の経営は成り立たない」というホンネをずいぶん聞いてきたが、そもそも労基法を守れないのなら、雇用をすべきでない。雇用をできなければ事業の進展を見込めないとすれば、それだけの経営力しかないと割り切る以外にない。

最低賃金を下回っていないことは求人の要件である。ハローワーク職員が求人票を受理するときに、求人要件のチェックをミスすることは、いかにも稚拙だ。しかし実際に問題が発生した以上、求人票の記載方法の説明文に、コンプライアンスの説明も詳しく盛り込むことが必要である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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