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電通子会社5社も調査 塩崎厚労相「徹底的に究明したい」

電通の新入女性社員が昨年12月に過労で自殺した問題で、厚生労働省は18日、労働基準法に基づく立ち入り調査の対象に同社の主要子会社5社も加えると明らかにした。すでに調査を実施したという。塩崎恭久厚労相は同日の閣議後の記者会見で「過去にも長時間労働に伴う自殺者を出した電通で再び自殺に追い込まれる事態が出た。実態を徹底的に究明したい」と述べた。
(中略)
電通は時間外労働の上限を月70時間から月65時間に引き下げる方針を固めた。新入社員の高橋まつりさんが過労で自殺した問題を受け、労働時間管理を徹底し再発防止につなげる。労使協定の改定に合意するまでは運用で対応、月間ではなく1日単位で労働時間を管理する。 24日からは22時以降を全館消灯とし、私用で会社に残ることも禁止とする。
(日本経済新聞 10月18日)

電通が勤務時間の短縮を迫られたことで、同業他社はどう反応するだろうか。明日は我が身と受け止めて、勤務時間の見直しに着手するのが普通の反応だが、たぶん、そうはならないのではないか。
電通の勤務時間が減れば、労働量が縮小するとにらんで、一気にクライアントに攻勢をかける。これまでは断わっていたような無理な要求も受け入れる。それが、予算争奪戦でシノギを削りあう広告代理店の本能である。

それにしても――。過労死問題はいっこうに解決されない。連綿とつづいてきた“長時間労働自慢”という歪んだ心理が矯正されない限り、この問題の病根が摘出されることはない。労働基準法を改正しても、企業は抜け道探しに走ってしまうだけだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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