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待遇格差は非正規の健診受診率にも反映

非正規と正社員の待遇格差で、賃金に加え指摘されるのが健康の問題だ。健康保険の加入は今月から適用条件が拡大されたものの、対象は従業員501人以上の事業所など一部。専門家からは雇用実態に合わせた制度の再構築を求める声も上がっている。
(中略)
厚生労働省が2014年にパート労働者1万3417人と5065事業所に聞いた調査では、定期健康診断を「受診した」と答えた労働者は、従業員49人以下の事業所で57.9%、300人以上で82.2%。パートの健康管理規定が「ある」と答えた事業所は49人以下で553.1%、同300人以上で74.4%と小規模の事業所ほど低かった。
(毎日新聞 10月10日)

健康格差は経済格差にほぼ比例する。国民皆保険制度があるとはいえ、自己負担料を払えずに受診を抑制せざるをえない人たちが少なからず存在する。この層は運動や食事のバランスを考える余裕などないだろうから、ますます健康を害するという負のスパイラルに入ってゆく。
一方で富裕層対象の医療サービス倶楽部もあるなど、経済力が健康に大きく影響してくるのだ。肉体を機械に例えれば、どれだけメンテナンスコストをかけられるかで耐用性が異なってくる。
従業員の健康診断については、雇用形態を問わず等しく受診させることが望ましい。健康経営が必須となった時代、非正規労働者の健康管理も正社員と同等に実施する企業かどうか。これは採用にも影響してくるだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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