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社員の紹介で中途採用する企業が増加

社員紹介による中途採用が広がっている。米国などで一般的な「リファーラル採用」と呼ばれる手法だが、日本企業は求人広告や登録制の人材紹介サービスを使う場合が多かった。人手不足の深刻化を受け従来の手法で人を集めにくくなったことが背景にある。
 
リクルートキャリア(東京・千代田)が2015年に始めた社員紹介支援サービスは100社が導入し、毎月10~15件ずつ増えている。各社員が何人に声をかけ、そのうち何人が応募や入社に至ったか、などの情報を一括管理する。

利用業界は「製造業や飲食、介護施設、美容院などに広がっている」(同社)。社員紹介の増加とともに応募数や選考状況を効率的に管理する必要性が増している。
(日本経済新聞 10月6日)

紹介採用といえば、かつて保険外交員の多くは、外交員が知人に誘われて就労するケースが多かったのではないか。20年ぐらい前だが、外交員に「営業だけでなく採用も人事評価の対象になっているんですよ。お知り合いのなかで誰かいませんか?」といわれたことがあった。

最近、耳にした例では、知人に声をかけて採用すると5万円の報奨金が支払う介護施設や、看護師の紹介採用に報奨金10万円を払う病院があるという。採用コストの削減だけでなく、知人であるだけに適性も見極められ、ミスマッチ解消にもよいらしい。
 
昨年取材した外資系コンサルティングファームも、報奨金制度こそ設けていなかったが、「同業のコンサルタントなら、うちに転職して活躍できるかどうかが分かる」(人事担当者)という理由で紹介採用を始めていた。
 
紹介採用では報奨金目当てに積極的に動く社員もいるだろうが、採用された知人が及第点以上の力を発揮してくれるかどうかが不安で、たとえ該当する知人が何人かいても、踏みとどまる社員もいるはずだ。かりに紹介した人物が不評で、ほどなく退職でもされたら、なんとも気まずい。わずらわしい思いは避けたいだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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