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「和食さと」のサト、違法残業月111時間 容疑で書類送検 大阪労働局

「和食さと」「すし半」「さん天」などを展開する飲食チェーン大手、サトレストランシステムズ(大阪市中央区、東証1部)が、従業員に違法に時間外労働をさせ、残業代の一部を支払わなかったとして、大阪労働局は29日、労働基準法違反の疑いで、法人としての同社とさん天事業推進部長、店長4人を書類送検した。

労働局によると、サトは時間外労働の限度(月40時間)に関する労使協定(三六協定)を店舗ごとに結んで労働基準監督署に届け出ていたが、労働者代表の選出に不備があり、有効な協定として認められていなかった。

書類送検容疑は平成27年、本社と大阪府内のすし半、和食さと計4店で、従業員7人に対し最長で1カ月111時間~49時間の時間外労働をさせ、うち2店では3人に割増賃金の一部(計約30万円)を所定支払日に支給しなかったとしている。

同社は調査委員会を設置して全店舗で未払い賃金を精査。延べ653人に26~27年分の計約4億円を支払った。
(産経新聞 9月29日)

10年近く前になるが、東京地検特捜部OBが「法令違反はいずれ大きな経済的な損失になって返ってくるのに、どうしてわからないのかなぁ…?法令を遵守するか犯すかは、良し悪しの問題だけでなく、損得の問題でもあることを認識しないとね」と呆れていた。

大手飲食チェーンが労働基準法を犯せばどうなるのか。採用が苦難に陥って、新規出店が滞り、業績に響いてくる。顧客もブッラク企業で金を使いたいとは思わず、負のスパイラルが一気呵成に進んでゆくのだ。

サトレストランシステムズも、ワタミやゼンショーの例を学んでいたはずである。労基法違反におよんで幹部4人が書類送検されたことは、知識や認識の不足ではなく、確信犯だったという以外にない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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