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勤務時間外メール「つながらない権利」拡大

土日も仕事のメールをやりとりするため、気持ちが休まらず、ストレスをためている会社員が少なくない。きっちり休みをとらせるために、勤務時間外のメールの自粛を呼びかける企業が出てきた。無駄なメールを廃して業務を効率化するのも狙い。海外でも同様の動きがあり、「つながらない権利」として話題を呼んでいる。

都内の不動産販売会社に勤める女性(31)は「私の職場では、週末に上司から来るメールやラインの連絡に困っている人が少なくない」と話す。「すぐに対応しなくてはならないメールと、そうではないメールが混在しており、とりあえず全部を読まないといけないのでストレスがたまる」。こういう悩みを持つ会社員は少なくない。

(中略)

会社全体で取り組んでいるところもある。医薬品大手「ジョンソン・エンド・ジョンソン」(東京)は、勤務日の午後10時以降と休日の社内メール自粛を、4月から全社的に呼びかけている。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)推進のためで、緊急案件は対象外。
(読売新聞 9月6日)

勤務時間外のメールが常態化すると、どうなるのか。帰宅してからメールをチェックし、就寝前にチェックし、さらに出勤前にチェックする。休日は朝、昼、夜と3回はチェックする。発信者が上司だった場合、返信を怠ると叱責を受けてしまう。逆に部下に送信したメールに対して返信がされないとイラついてしまう。

こうした極端なケースも少なくない。メールの利便性が暴走すると、24時間365日、社員を縛り付けるツールに変身してしまうのだ。上司も部下もメールの奴隷になってしまい、オフタイムに定期的にチェックし、その場で返信しないとスッキリしなくなってしまえば、いずれ身体にも異変をきたすようになるだろう。

「つながらない権利」だけでなく「つなげない義務」も徹底すべきだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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