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大手企業の夏のボーナス、8年ぶり90万円超え 経団連集計

経団連が4日発表した大手企業の平成28年夏のボーナス最終集計によると、平均妥結額は前年比1.46%増の90万5165円で、4年連続で前年を上回った。昭和34年の統計開始以来、平成19年の91万286円、20年の90万9519円に次いで過去3番目の高さ。90万円を超えるのも8年ぶりで、リーマン・ショック以前の水準に回復した。

製造業の平均は、同1.94%増の93万6353円で、現行の統計方式では過去最高を記録した。非製造業も0.09%増の79万2213円となった。

業種別では、自動車が3.45%増の106万5091円となり、これに食品の97万1682円が続き、全体を大きく押し上げた。一方で、鉄鋼が67万416円で、前年を約14%下回ったほか、造船も4.22%減の82万1682円で、振るわなかった。中国などの新興国経済の悪化が影響した。
(産経新聞 8月4日)

これだけ高額のボーナスを手にしても、政府の期待に反して消費には廻らないだろう。消費税率が10%になれば、8%時代とは心理的なギャップが相当に開き、多くの消費者はレシートを見るたびに呆然とするのではないか。

さらに2020年以降に五輪後不況が襲来することも、消費者は織り込み済みで、貯蓄を重ねて生活防衛に入ることは当然の行動だ。個人消費の拡大に向けて、政府が笛吹けど、消費者は踊らない。

それにしても、保育士と介護士の賃金水準がなかば社会問題にもなっている最中に、保育士や介護士がこのニュースを見たら、どんな思いを抱くのか。福祉職に就く人たちは報酬やステイタスではなく、どれだけに人の役に立てるかに思いを致し、献身的に働いているが、真っ当な生活設計ができなければ志も霧散してしまう。介護離職をゼロにするには、まずは介護士の離職をゼロにしなければならないというテーマ設定が不可欠だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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