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健康経営、福利厚生から競争戦略へ転換

東京国際フォーラム(東京・有楽町)で、6月8日からスタートした人事関連の専門イベント「ヒューマンキャピタル/ラーニングテクノロジー2016」。
その2日目に、「健康経営でつくる生き生き組織 ~アサヒビール・TOTOに学ぶ」と題したセミナーが開催され、アサヒビール経営企画本部人事部長の杉中宏樹氏、TOTOの上席執行役員人財本部長の平野氏貞氏らが登壇した。

冒頭、同セッションのファシリテーターを務める明治大学大学院教授 社会人財学舎塾長の野田稔氏は「健康経営という言葉を企業トップに知ってもらえるようになって、ようやく2、3年。昨年が“健康経営元年”だったのではないか」と、健康経営というキーワードについて解説した。
「まだ十分に浸透しているとは言えない健康経営という言葉は、従業員のための人道主義的な福利厚生の一環として語られるところから、企業の今後の競争戦略の一つとして語られるように大きく変化してきた」(野田氏)。
(nikkei BPnet 6月10日)

東京証券取引所の「健康経営銘柄」に選定されたアサヒビールとテルモを取材したが、2社とも、社員が健康であることが会社としてノーマルな状態という、ごく自然な動機で健康管理に取り組み始めたと聞かされた。福利厚生や競争戦略という目的よりも、そういう動機のほうが大切である。組織風土が健全だから、社員の健康にも自然に目が向くのだ。

健康経営の推進には、経済産業省は労働生産性の向上、厚生労働省は医療費適正化をミッションに掲げているが、労働生産性の向上が明らかになれば、一気に普及が進むだろう。

健康経営銘柄に選定されることは、ホワイト企業のお墨付きを得たに等しく、新卒採用に効果の出た企業もあるという。運輸業界など就職人気の芳しくない業界にも、健康経営銘柄の取得を目指す動きがあるというが、好ましい動きだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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