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リクルート上場 さてハイエンド人材紹介セグメント市場はどんな状況か?

ハイエンド人材紹介市場(国内)を分析する

リクルートホールディングスが10月に上場、時価総額は1兆6千億円規模になるようだ。
このブログでも何度もリクルートに関する話題は提供してきたが、関係者の方々からご意見(概ね斜め上から)を頂いたりすることも多く、今回も楽しみにしている。

さて、リクルート上場に伴いセグメント別の売上高や利益なども明らかになり、セグメント別の比較記事なども目にする機会が増えてきた。私もthe startupの「上場承認が降りたリクルートのセグメント別売上と、スタートアップが付け入る隙」などは大変興味深く感じた。

そこで今回はハイエンド人材紹介市場(国内)における現状と、リクルートグループ、特にリクルートエグゼクティブエージェント社を中心に分析したいと思う。CDSやリクルートキャリアで一部取り扱っているであろうハイクラス層については今回はデータが取れなかったので、検討対象外とする。

リクルートエグゼクティブエージェントについて

まず、リクルートエグゼクティブエージェントのPLだが、リーマンショック後に売上が8億以下に落ち込んだが、再び10億円台に復活している。これは概ね全ての人材会社に共通しているので、特段コメントなし。
直近の2013年度は1,344,000/227,766という仕上がり、社員43名のため、1名当たりに換算すると31,256/5,297となる。
コンサルタント人数が不明なので1人あたりの予算まではイメージできないが、概ね四半期で1000万円程度の水準だと思われる。

私の知る限りハイエンドの人材紹介やエグゼクティブサーチでは、1人6000万で1人前、1億円でスターという位置づけなので、社員数から考えると3-5人くらいスターがいるような様子だろうか。

ハイエンド人材紹介(ヘッドハンティング会社含む)の比較

さて、ハイエンド人材紹介市場はどうなっているのだろうか?と思って、先週からインターンに参加したナヨンさんに少し調べものをお願いした。
出てきた資料を見ると、正しい数字なのか怪しい部分はあるものの、やはりエゴンゼンダーの生産性は圧倒的である。コーンフェリー、ラッセルレイノルズ、ハイドリック、スペンサスチュアートの数字が全然出てこなかったので、BIG5の比較はできていないのだが、その他の日系ヘッドハンティング会社と比較するとその1人あたりの売上高が81,250と抜群に高い。

1人あたりの生産性でとらえると縄文アソシエイツも善戦して50,000/5,857、最近はほとんどコンペで出会うことが無くなったので、どうしているのだろうか?と感じていたが、完全に余計な心配であった。まぁ売上は丸い数字なので本当かどうか分かりませんが。

私の古巣のサーチファーム・ジャパンは少々残念な状況、黒字転換しているようだが、売上水準が業界全体の成長に比べると低調であり、1人あたりの生産性もエゴンゼンダーの1/5、縄文アソシエイツの1/3以下である。

参考までに一般の人材紹介を専門とする企業(インテリジェンス、JAC、メイテックネクスト)についても数字を上げたが、1人あたりの売上は1500万円とこれまでの人材紹介の教科書通りの仕上がりであった。

リクルートX vs エゴンゼンダー vs 縄文アソシエイツ

まず、3社の売上推移だが、左記の通り。エゴンゼンダーと縄文は基本的には売上規模の拡大を目指している会社ではないと思うので、売上水準は一定である。

一般的にはエグゼクティブ領域は景気の良し悪しに左右されずに一定の求人数が常に存在する。好況時は新規事業やグローバル化、不況時は体制変更やターンアラウンドといったネタが多い。事業承継関係は時期に関係なく個別事案であり、グローバルカンパニーのガラガラポンは4年に一度くらい発生し、これらが3社の対象案件だと思われる。

次に社員1名当たり生産性を比較する。エゴンゼンダーは利益非公開のために比較することはできないが、リクルートX31,256、エゴンゼンダー81,250、縄文アソシエイツ50,000である。

恐らく案件単価やリテイナー比率、社員の能力・成果いずれもエゴンゼンダーが圧倒している様子である。

BIG5の強さはグローバルネットワーク、そしてエグゼクティブポジションの豊富さ、高額決定年収とそれに比例したコンサルフィーの水準が高い点にある。

ブティック型の紹介会社でハイエンドを中心に行っている企業は社員1人あたりエゴンゼンダーと同水準まで持って行くことを目標に掲げると、ニッチリッチのNO1として評価できるかもしれない。ちなみにジーニアスはエゴンゼンダーと縄文アソシエイツの間であり、コンサルティング事業についてはニッチリッチを目指したいと考えている。

なお、他の事業セグメント(不動産、結婚、旅行、一般人材派遣・紹介、就活・求人メディア)と比べると、ハイエンドの人材紹介においてはリクルートの存在感はほとんど感じられない。
恐らくこの領域は今すぐドメスティック日本市場で1位、圧倒的な売上やシェアを取りに行くというより、RGFやCDSといった買収会社とのグローバル連携を進め、買収会社が強いASEAN地域(特に本社機能の集まるシンガポールや香港)、欧米の本社機能をどうにか開拓することに力をいれていくのではないか。

そして少々時間はかかるかもしれないが5年程度でBIG5と同様の顧客基盤を確立した上で改めて日本市場をどう取り組むか?を検討するフェーズに入ると思われる。加えて、新規の求人媒体「キャリアカーバー」をビズリーチサイズに引き上げ、ハイエンド紹介事業のデータベース拡充と認知向上に向けた努力も並行して行っている。

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三上 俊輔

著者情報:
三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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