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ヘッドハンティング会社にリファレンスチェックを依頼された時に注意すべきこと

リファレンスチェックとは何か

エグゼクティブサーチ事業に携わると、必ず最後に待っているのがリファレンスチェックである。
リファレンスとは「身元照会、信用照会」のことであり、求人企業が採用の意思決定を行う上で、求職者の信用を第三者からの推薦で確認する手段である。

外資系企業は人事ルーティン業務の一環としてリファレンスチェックを行う会社が多く、近年は日系企業でも部長職以上など一部ではリファレンスチェックが導入されている会社が増えている。
当社でも年間50名程度のリファレンスを取っているが、その中で思わぬ事実が判明したり、リファレンス対象者の選び方に問題を感じることも多い。

そこでリファレンスチェックを依頼された場合に注意すべきことについて、私なりにいくつかまとめてみることとした。
ヘッドハンターにリファレンスを依頼された時には参考にして頂きたい。

リファレンスチェックの流れ

大きく分けて二通りの方法がある。

1つは転職先企業の採用担当者、また斡旋を行ったヘッドハンティング会社や人材紹介会社がキャンディデイトの同意を取り、リファレンスを取得するものである。概ねキャンディデイトはこれまでの同僚や上司、部下、または取引先などご自身のことを好意的に受け止めているであろう方を数名推薦し、電話や面会の形でリファレンスを取得するか、またはこれらの方々に書面でリファレンスレターやメールを作成頂くこととなる。

もう1つは興信所や調査会社を利用するケースである。こちらも多くはキャンディデイトの同意を取り(一部知らぬ間に行われるケースもあるらしいが)、専門業者が行うものである。この場合の調査項目は履歴書記載事項の正誤だけではなく、犯罪歴や財務状況なども確認対象となることがある。

昔は郵便受けの中をのぞいてどんな新聞を読んでいるのか?自宅近所に聞き込みを行い、思想信条を含めて調査する念の入れようだったようだが、さすがに最近はそういった話は聞かない。

リファレンスチェックのタイミングはオファーレター提示の直前が多い。この段階では採用条件(報酬やタイトル)が確定(双方同意)していることが大半であり、リファレンスチェックを求められるということは、概ね採用は決定していると理解しても差し支えない。

但し、このリファレンスチェックで経歴詐称が判明したり、リファレンス結果が著しく悪い場合には、採用の是非が覆ることもある。これまでの私の経験だと95%くらいはそのまま採用決定に至るが、5%は上記何等かの理由で不採用となっている。

ちなみに不採用になる際に最も多いのが、経歴詐称の判明である。これは概ね社保などの経歴を取ると一目瞭然なのだが、リファレンスチェックを求められた後にキャンディデイトと急に音信不通になったり、リファレンスチェックの対象者が信用性に欠けクライアントに対して採用を見直すことを進言することもある。

リファレンスチェックでは何を確認するのか?

リファレンスのチェック項目は、履歴書内容の確認を除くと、だいたい以下の通りだ。

  1. 貴殿(リファレンスチェックの推薦人)と応募者の関係を教えてください。(上司?同僚?部下?取引先? 一緒に仕事をした期間)
  2. 当時の応募者の業務内容について教えてください。
  3. 応募者の組織の中で働く適正、仕事に対する責任感に関する評価を教えてください。
  4. 応募者の最も貢献した実績を教えてください。
  5. 応募者の強み、弱みを教えてください。
  6. 貴殿はもう一度応募者と一緒に働きたい(雇いたい)と思いますか?その理由も教えてください。

これらの質問がベースになり、あとは採用ポジションや業務内容によって、更に具体的な質問事項が追加される。質問内容については、予め上記のような内容であることを、推薦人には伝えた方が効果的である。特に一緒に仕事をした期間や実績は記憶が曖昧なケースもあり、リファレンス前にしっかり思い出して頂くことが重要である。

リファレンスチェックで注意すべきこと

まず、「誰に頼むか?」である。

リファレンスチェックの是非はほとんどこの「誰に頼むか?」で決まる。
当然ポジティブな印象を持っている方、そして普段の仕事ぶりを知っている方が望ましく、これらの方々からの強力な推薦は、更に応募先企業での評価を高めるものとなる。また、推薦人自身もビジネスにおいて実績があり、社会的なステイタスがある方、職位の高い方が望ましい。
但し、一応昔の上司であるが、直属ではなくその更に上層部、例えば関係の薄い元社長や役員などは、見栄えは良いが、あなたの推薦人にはならず、先に記載した質問事項にほとんど中身のある回答ができないために、お勧めしない。

次に「リファレンス前の情報共有」である。

リファレンスの目的は、転職の成功にある。そのためには、そもそも自分がどのような状況にあるのか?応募先の会社や仕事がどのような内容なのかを事前に推薦人にも情報共有し、その内容を踏まえた回答を用意して頂くことが望ましい。
ヘッドハンターによっては、これらの背景を応募者に代弁して説明してくれる丁寧な者もいるが、多くは第三者の客観情報の入手が目的であり、淡々と質疑応答するケースが多い。

最後に「無理はしない」ということだ。

現職者の場合は、自身の転職活動をしていること(またはヘッドハンティングの対象となったこと)を開示することになる。
そのため、推薦人に対しても「自ら転職活動を積極的 に行っている訳ではなく、たまたまヘッドハンターに声を掛けられた」など、現職に万が一情報が漏れた場合に、トラブルを最小限にとどめるような対応が必要である。
但し、絶対に秘密裏に行動したい場合は無理をせずに、クライアントやヘッドハンティング会社に相談することをお勧めしたい。
例えば上場会社の役員で人事情報が適時開示事案に該当するような場合や、転職経験がなく現職の上司や同僚へのリファレンス対応が不可能な場合など、これらのケースではリファレンスの取得が難しいことは相手も理解を示してくれることが多い。
この場合はオファーレター提示・承諾後、入社までの間にリファレンスを後追いで取得することで代用することも多い。また人事的に必要書類のため書類が揃っていることの方が内容よりも大切な場合もあり、この場合は後追いでも問題はない。

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三上 俊輔

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三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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