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アクシスコンサルティングがケンブリッジを買収した件

アクシスコンサルティング株式会社による株式会社ケンブリッジ・リサーチ研究所の全株式取得について
~ 50年の歴史を持つ人材紹介のパイオニア企業とのシナジーにより、 事業会社へのコンサルティングファーム出身者の人材紹介(ポストコンサル)を強化~

人材コンサルティング会社のアクシスコンサルティング株式会社は、民営人材紹介事業に関する労働大臣許可 首都圏第1号として、50年の歴史を持つ株式会社ケンブリッジ・リサーチ研究所の全株式を取得したことを発表いたします。これにより両社は事業協力関係を強化し、コンサルティングファーム出身者の事業会社への人材紹介、ならびに製造業に対するものつくりコンサルティングを強化してまいります。
(PR times 2016年8月1日)

中規模人材紹介会社で珍しくM&Aが成立。
コンサルとSI専門のアクシスが、老舗のケンブリッジ・リサーチ研究所を吸収している。

ケンブリッジと言えば、イムカと同様にわが国では最古の人材紹介サービスの1社であり、公共の無料職業紹介所中心の労働市場に一石を投じた企業である。最もイムカ同様に近年は余り名前も聞かなかったので、ベテランが労働市場の片隅でコツコツ商売やっていた印象である。

人材紹介会社のM&Aというのは大規模企業(100人超える)の場合は、それなりに効果的である。まず自社媒体での集客だが、保有サイトが増えればそれなりの求職者確保が可能になる。
加えて、コンサルタントの育成や確保も意外と時間がかかるので、手っ取り早く時間を買うことができる。
最後に老舗買収に関しては、当然求職者DBもアクセス可能になるのだが、10年以上求職者DB積み上げると相当なボリュームになるので、その情報量の価値は比較的高い。

なお、中小人材会社(20名以下くらい)の場合は買収するよりも、TOPコンサルタントを2,3人引き抜いた方が早い。
概ね中小人材会社の売上は上位20%のコンサルが80%くらいを上げている。5人で20人支えている会社も少なくない。
買収価格はわからないが、それなりに数字を上げていそうなベテランを2,3人声を掛ける方が、はるかに投資対効果は高いのだろう。

最もこのような買収が成立するということは、経営者同士がそれなりに距離が近いケースが多く、同義上引き抜きは難しいために、円満に買収という手段が択ばれたのであろうと推察する。

今後人材紹介会社も創業者の高齢化に伴い、本件のような中小規模の買収やExitが増加するのではないか。何か尖った特徴がある会社は買収によって生き残ることも可能だが、尖りがない会社は自然消滅していくことも十分にあり得る。人材業界の皆さん、後継者が育てられない、またはいない場合でも、最悪Exitできるように尖った特徴を大切に商売していきましょう。

三上 俊輔

著者情報:
三上 俊輔

2006年、早稲田大学法学部(専攻労働法)を卒業後、独立系エグゼクティブサーチ会社であるサーチファーム・ジャパン株式会社に入社。柔硬幅広い業界の部門長クラス以上の経営者獲得、スペシャリスト(エンジニア、会計士など)採用を実現。 2011年、サーチファーム・ジャパンより組織戦略及び技術コンサルティング事業を分社化し、ジーニアス設立、代表取締役就任。 理論と実践のギャップを埋め、健全なる雇用環境の発展に微力ながら貢献すべく、スカウトその他様々なプロジェクトを戦略的に遂行している。

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